母と通った思い出〝黄色い列車〟 県立ろう学校、林田君の版画展示 島鉄島原駅、諫早駅

展示する版画を水江駅長(左)に託した林田君(中央)と母彩子さん=島原市、島原鉄道島原駅

 昨年12月の本年度全国特別支援学校文化祭の造形・美術部門で入賞した県立ろう学校小学部6年、林田郁弥(ふみや)君(12)の木版画「走る島原鉄道」が、島原鉄道の島原駅と諫早駅に展示されている。郁弥君が同校幼稚部への通学で、母親の彩子(さいこ)さん(52)と一緒に乗っていた島鉄列車を描いた作品で、「海の青と電車の黄色がきれいに刷れた。賞が取れてうれしい」と喜んでいる。
 同文化祭は全国特別支援学校長会などが主催。造形・美術、書道、写真の3部門があり、本県からは県特別支援学校長会が計4作品を推薦していた。
 郁弥君は有明海沿いを走る列車を上空から見下ろす構図で描き、全国聾(ろう)学校長会長賞を受賞。彩子さんに連れ添われ、島原市内から島鉄とJR列車を乗り継ぎ、約1時間半かけて大村市の同校幼稚部まで通ったことを思い出しながら描いたという。

全国特別支援学校文化祭で入賞した林田君の版画「走る島原鉄道」

 展示は同校が島鉄に依頼。3枚を島原駅に、1枚を諫早駅に今月22日から展示している。島原駅は6月末まで、諫早駅は4月末まで。
 展示作業には郁弥君と彩子さんらが立ち会い、島原駅では水江勝美駅長(52)と一緒に記念写真に納まった。水江駅長は郁弥君が島鉄で通学していた当時、車掌として列車に乗り込んでいた。郁弥君が車内で静かに座って絵を描いたり、動き回って彩子さんに止められたりする姿をたびたび見掛けたと言い、「とても印象に残っている。ずっと島鉄のことを好きでいてくれてうれしい」と感慨深げ。
 彩子さんも「(郁弥君は)手先が器用だけど受賞はびっくり。2年間、一緒に乗った列車が記憶に強く残っているんだと思う。私にとっても大切な思い出」と顔をほころばせた。


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