内閣支持率はほぼ横ばい、ウクライナ情勢の余波は内政にも=2022年3月選挙ドットコム・JX通信社合同調査(米重克洋)

3月に実施した選挙ドットコムとJX通信社の定例の合同調査(電話)では、岸田内閣の支持率が42.5%(前月比プラス3.9pt)、不支持率が22.7%(同マイナス4.8pt)となり、支持率がやや上昇する結果となった。同時に行ったネット調査でも、支持率は21.3%(同プラス3.6pt)、不支持率は36.4%(同マイナス5.4pt)と支持率の反転傾向が見られている。

3月はNHKや読売新聞・NNN、日本経済新聞といった他の報道各社の調査でも内閣支持率はほぼ横ばい〜上昇の傾向で共通している。支持政党別でみると、支持する政党を持たない無党派層で約7ptの上昇が見られていて、内閣支持率をやや押し上げる一因となっている。ただ、電話調査で全体の約3割が「どちらとも言えない」を選ぶなど、支持・不支持を表明しない中間的な層が多い傾向は前月から変化がない。

ロシアのウクライナ侵攻で外交・安全保障に注目

報道各社の分析には、内閣支持率や参院選に影響し得る要素として、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる日本政府の対応に注目する論がある。そこで、選挙ドットコムとJX通信社の合同調査でもウクライナ問題について聞いた。

選挙ドットコム編集部作成

まず「ウクライナ問題への日本政府の対応」についての設問では、約5割が「評価する」とした一方、約2割は「評価しない」、約3割は「どちらとも言えない、わからない」とした。世論は概ね、日本政府の対応を評価する一方で、中間的な回答もなお多いことが分かる。各政党支持層別に見ると、自民党支持層では約7割、公明党支持層では約8割が評価する一方、共産党や社民党の支持層では評価するのは約2割にとどまっていて、否定的な意見が目立つ。

また、ロシアのウクライナ侵攻を受けて生じた、日本国内に米国の核兵器を配備して共同運用する「核共有」に対する議論を巡っては、党派ごとにより意見が割れている。自民・維新両党の支持層では2割強が「行うべき」、5割弱が「議論はするべき」とする一方、立憲の支持層では「行うべき」「議論はするべき」の両方を合わせても約3割にとどまっているほか、共産・れいわの支持層では2割未満にとどまっている。無党派層では「行うべき」が約1割、「議論はするべき」が約4割、「議論も行うべきではない」が約3割だった。回答者全体で見ると、約15%が「行うべき」、約4割が「議論はするべき」とする一方、約3割は「議論も行うべきでない」とした。議論自体に慎重な層が一定以上いることが確認された。

選挙ドットコム編集部作成

また、参院選の投票にあたって最も重視する政策についてもやや変動があった。重視する政策として「社会保障・医療・福祉」が27.5%(昨年10月の衆院選直前調査に比べてプラス0.9pt)、「経済・雇用」が24.9%(同マイナス2.3pt)でツートップになる一方、それに続く政策として「外交・安全保障」を挙げた人が12.2%(同プラス3.7pt)と伸び、「新型コロナ対策」は9.4%(同マイナス2.3pt)にとどまった。2月下旬以降のロシアのウクライナ侵攻を受け、日本社会全体の関心事として外交・安全保障が浮上しつつあることを反映していると言えそうだ。とりわけ男性、50代以上、そして自民・維新・国民支持層で外交・安全保障政策を「重視する」割合が高かった。

選挙ドットコム編集部作成

立憲が復調傾向も、無党派層での支持に課題

衆院選以降続いている立憲民主党と日本維新の会の「野党第一党」争いは、足元では立憲が巻き返しつつある。政党支持率では立憲が12.9%(前月比プラス2.8pt)、維新が8.8%(同マイナス1pt)で、若干ながら両者の差が開いたのに加え、今年夏の参院選での比例投票先を聞いた設問では立憲が19.1%(同プラス5.2pt)、維新が17.8%(同マイナス1.4pt)で、こちらは両者の割合が逆転した。

選挙ドットコム編集部作成

3月27日に投開票が行われた兵庫・西宮市長選では、大阪府外での首長ポスト獲得を目指した維新の公認候補が大差で敗れるだけでなく、同日の市議補選(定数2)で同党の2候補が共倒れするという「波乱」が生じた。維新が参院選に向けて立憲を上回るモメンタムを維持できるかどうかが引き続き注目すべきポイントとなりそうだ。

ただ、支持政党別で比例投票先を見ると、無党派層ではなお維新が21.0%(同プラス1.3pt)、自民が16.1%(同マイナス0.7pt)、立憲が12.5%(同プラス1.4pt)の順で続いている。立憲はなお、無党派層からの支持調達に課題を抱えている。

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