島を旅立つ人へ 別れを惜しむ紙テープ 五島列島の港に舞う

船上の教諭と見送りの教え子らを結ぶ紙テープが風になびいていた=五島市、福江港

 転勤や進学で旅立ちと別れのシーズン真っただ中。五島列島の港では色とりどりの紙テープを手に、島を離れる人を見送る光景が見られる。
 28日午前10時50分、新上五島町の有川港。佐世保行きフェリーの出航時刻に合わせ、友人や知人を送り出そうと約500人が集まった。新上五島署から転出する入江勝明警部(47)は「島ならではの距離感で地域の人と触れ合えて楽しかった」と名残惜しみながら乗船。町立上五島中2年の永田琳花さん(14)は、所属する野球部の仲間らと一緒に、顧問だった畠山主税教諭を見送りに来た。「1年は短かった。せっかく仲良くなれたのに…」と寂しげ。
 同日正午ごろ、五島市の福江港。長崎行きフェリーの甲板に立つ教諭に向け、教え子らは「今までありがとうございました」と書いた横断幕を掲げ、校歌を歌った。県立五島高に8年間勤務し、県立清峰高に異動する平山豪教諭(38)は「素直でやる気のある生徒ばかり。『もっとできる』という気持ちで、上を目指して頑張ってほしい」と願った。
 「さようなら」。フェリーが岸壁を離れると、別れを惜しむように紙テープが長く伸び、やがて切れて舞い上がる。人々は涙を流しながらいつまでも手を振っていた。切なく、心に響く島の風物詩だ。

教諭との別れを惜しむ教え子ら=新上五島町、有川港

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