神奈川県大井町の東名高速道路で2017年、「あおり運転」を受け停止させられたワゴン車に後続車が追突し、男性＝当時（45）＝一家4人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反（危険運転致死傷）などの罪に問われた被告の男（30）の差し戻し裁判員裁判が30日、横浜地裁（青沼潔裁判長）であり、検察側は懲役18年を求刑した。
検察側は「2人の命が奪われた結果は重大。執拗で悪質な犯行」などと非難。「本来は懲役23年に処するのが相当」としながら、一審で懲役18年の判決が下され、控訴した後に今回の差し戻し裁判となっている経過も踏まえたと述べた。
被告は「事故になるような危険な運転はしていない」と無罪を主張。弁護側は、被告の運転は危険運転に当たらず、事故の原因は速度超過や通行帯違反、車間距離を取っていないなど、追突した後続トラックの運転にあると訴えていた。
起訴状などによると、被告は2017年6月5日夜、中井パーキングエリアで男性に駐車方法を非難され憤慨。一家のワゴン車に著しく接近する妨害を繰り返すなど停車を余儀なくさせて後続トラックの追突事故を誘発し、男性と妻＝当時（39）＝を死亡させたなどとしている。
横浜地裁は2018年、自動車運転処罰法違反（危険運転致死傷）などの罪で被告に懲役18年の判決を言い渡したが、東京高裁は19年、違法な訴訟手続きを指摘して一審判決を破棄、審理を差し戻した。
