石場ダムの貯水率が低下 農業関係者から不安の声 大分

臼杵市と豊後大野市にまたがる農業用ダムで、貯水率が大幅に下がっています。農業関係者からは心配の声が上がりました。

【吉田記者】 「石場ダムです。満水であれば取水口あたりまで水がくるということですが、現在はその遥か下、全体の30パーセントほどしか満たされていません」

石場ダムは、主に臼杵市野津町と豊後大野市三重町の農業用水として利用されるダムです。満水時には、およそ215万トンが貯められますが、今、その水が枯渇しています。こちらは貯水量を表したグラフです。平年は70パーセント以上を維持していますが、去年秋から下がり続け、おとといには31パーセントほどになっています。

【県農林水産企画課・宇都宮光夫企画監】 「石場ダムの流域にたまたま雨が少なかったとしか、いまのところは言えない」「このまままとまった降雨がないと4月末、5月の連休明けには給水停止という可能性もでている」

県によりますと、例年、水を溜めこむ秋に去年は雨が少なかったことなどが原因とみていますが、県内の他の主要なダムと比べても、石場ダムの貯水率はかなり低くなっています。このまま貯水率が回復しなければ、石場ダムではおよそ11年ぶりの給水停止となります。

【用水の利用者・橋本文博さん】 「本当に近づいてきたので非常に緊張が高まっています」

石場ダムの農業用水を使い、野津町でパプリカ農園を営む橋本文博さん。11年前の給水停止の経験から、農業用水を溜めこむタンクとは別に、浄水が出る蛇口を設置し、万が一の時に苗を枯らさないよう備えてきました。

【橋本さん】 「農業用水に比べると2桁3桁くらい費用が高くなるので経営圧迫の要因になる」

さらに、農家を苦しめるのは燃料の高騰です。

【橋本さん】 「温室を温める燃料代、出荷をする段ボール、人手不足賃金上昇、あらゆるコストが上がっている」 「逆風が吹いている中でさらに風速が強まると淘汰があまりにきつい」

県は、石場ダムの状況から先週、およそ5年ぶりに少雨対策連絡室を設置しました。今後は、貯水率の推移を見ていくとともに、応急的に水を貯めるタンクを配給するなど農家への支援を進めるとしています。

© 大分朝日放送株式会社