富士山噴火の溶岩流 神奈川はマイカー避難も 中間報告

山梨、静岡両県とオンラインで結び開催された富士山火山防災対策協議会=神奈川県庁

 富士山の大規模噴火で被害や影響が見込まれる神奈川、山梨、静岡3県の新たな避難計画の検討概要が30日、公表された。神奈川県西部の7市町に到達の恐れがある溶岩流については、渋滞を回避するため徒歩避難を原則としつつ、地域の事情に応じてマイカーも可能とする案を示した。2022年度中の計画策定を目指す。

 3県などは同日、関係機関を交えた富士山火山防災対策協議会を開催。14年にまとめた現行の広域避難計画に代わり、策定中の富士山火山避難基本計画(仮称)の中間報告を行った。

 報告では、火口の位置などに関する最新の知見を反映させた富士山ハザードマップ(21年3月改定)で噴火の影響範囲が大幅に広がったことを踏まえ、「避難方法の根本的な見直しが必要」と指摘。富士山噴火で予想される多様な火山現象のうち、神奈川では、溶岩流と融雪型火山泥流、降灰と降灰後の土石流が避難の対象になるとした。

 山北町に最短で1日と9時間後に及ぶとされた溶岩流は、建物などを焼失させる危険な現象だが、勾配がなければ人が歩く程度の低速となる。

 このため、火口に近い山梨、静岡両県を念頭に徒歩避難を原則とする一方、「地域間で避難開始時間に差を設けるなど交通が集中しない体制」を確保できる場合は車での避難も可能とした。神奈川県は「溶岩流は時間的な猶予があるので、柔軟に対応できるようにしたい」と徒歩避難に必ずしもこだわらない姿勢を示している。

© 株式会社神奈川新聞社