今国会で公道レース実現に向けた法案提出を目指す。自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会が開催

 3月30日、東京都千代田区永田町の衆議院第二議員会館にて自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会が開催された。同連盟の加盟議員に加え、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表、全日本スーパーフォーミュラ選手権をプロモートするJRP日本レースプロモーションの上野禎久代表。そしてラリージャパン実行委員会の鈴木賢志会長など、国内モータースポーツ関係団体の代表や関係省庁の担当者が出席。各オーガナイザーからの2022年シーズンの開催概要の説明や、同連盟が進めている『自動車モータースポーツの振興に関する法律案』についての進捗報告が行われた。

 自由民主党モータースポーツ振興議員連盟は、国内モータースポーツのさらなる振興と発展を目的に2001年に発足した国会議員による連盟組織だ。同連盟は古屋圭司衆議院議員が会長を務め、モータースポーツ参戦経験もある三原じゅん子参議院議員が幹事長に。そして、元F1ドライバーで2021年に初当選した山本左近衆議院議員が同連盟の事務局長を務めている。

 開会に先立ち、山本左近事務局長による進行のもと、3月16日に逝去されたTEAM KUNIMITSUの高橋国光総監督への黙祷が捧げられた。その後、古屋会長からは「高橋国光さんへは春秋叙勲を出させていただこうと準備を進めておりましたが、残念ながら先日亡くなられました。そのため、死亡叙勲というかたちで協議を続けております」との説明がなされた。

自由民主党モータースポーツ振興議員連盟会長の古屋圭司衆議院議員

 今回の総会にはGTアソシエイションの坂東代表、JRPの上野代表、KYOJO CUPの関谷正徳代表、MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会の隠岐直広事務局長、ラリージャパン実行委員会の鈴木会長、JRCA長瀬努副会長が出席し、各シリーズの2022年開催概要やプロモーション施策について説明がなされた。なお、今回の総会では初めて、KTMジャパン、スズキ、トヨタ、マツダ、スバル、ニッサン、ホンダといったモータースポーツに参戦する二輪、四輪メーカーの担当者の出席も実現している。

 また、同議連が進める『自動車モータースポーツの振興に関する法律案』についても進捗状況が説明された。地域振興や観光政策の一環で公道を使用したイベントが全国で開催されるようになったが、主催者からは「警察との協力がうまくいかない」、「林道使用許可が降りない」など、自治体との連携が取りにくいといった相談を個別に受けていたという。

 そのため、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟は自動車モータースポーツ振興に支する基本法の制定を目指し、調整を進めてきた。そして、今国会において改めて、自動車モータースポーツ振興に関する法律案の提出を検討しているとのことだ。現在も政党間で調整中であり、悲願の公道レース実現に向け早期の法案成立を目指し、最大限の努力を続けているとの報告がなされた。

 また、総会にも出席しているオーガナイザーなどによって構成される日本モータースポーツ連絡会より、連盟に向けて『2022年国内各シリーズおよび世界選手権における外国人選手・スタッフの入国制限に関する要望書』が提出された。GTアソシエイションの坂東代表は「外国人選手、および関係者の入国の制限の特別措置を継続してお考えいただき、すみやかに入国できるよう入国制限に対する特別措置を再度お願いしたい」と話し、同連盟の古屋会長も改めて出席した関係省庁に対し協力を求めた。

 総会後、ラリージャパン実行委員会の鈴木賢志会長はオートスポーツwebの取材に対し、「法整備の面では私どもでは太刀打ちできない部分がありますので、国、行政、そして国会議員のみなさまにご協力いただける体制ができたというところで大変嬉しく思っております」と、悲願のラリージャパン開催実現に向けて前向きに語った。

自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会に出席したGTアソシエイションの坂東正明代表
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会に出席した日本レースプロモーションの上野禎久代表
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会に出席したラリージャパン実行委員会の鈴木賢志会長

 なお、総会には2021年のスーパーGT GT300クラス王者SUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝、2021年のスーパーフォーミュラでチームタイトルを獲得したcarenex TEAM IMPULから平川亮、そして2021年のKYOJO CUPのチャンピオンに輝いた辻本始温といった現役ドライバーも出席。多数の国会議員、そして関係省庁の職員を前に、それぞれ2022年シーズンに向けた意気込みを語った。

 事務局長として、今回の総会の進行役を務めた山本左近議員は総会終了後、オートスポーツwebの取材に対し、「事務局長という職務は、通常は当選1期生議員の仕事ではなく、何期か経験を積まれた方が務められるのが通例です。総会の準備も含め、初めてのことばかりでしたので、難しいことも多かったのですが、今回の総会には大勢の議員のみなさんに出席いただけました。これが一番大切なことだと思います。また、モータースポーツに携わる各種団体、そして今回は初めてレースに参加されているメーカーのみなさまにも総会に出席いただけました。そういった点でも、今回の総会は非常に意味のあるものとなったと思います」と語った。

 自動車モータースポーツの振興に関する法律案の成立、そして今後のモータースポーツの振興に向けて、国、行政、オーガナイザー、そしてメーカーの連携による更なる取り組みに期待したい。

自由民主党モータースポーツ振興議員連盟の事務局長を務める山本左近衆議院議員
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟の幹事長を務める三原じゅん子参議院議員
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会に出席した山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会に出席した平川亮(carenex TEAM IMPUL)
KYOJO CUPの関谷正徳代表と2021年のチャンピオンに輝いた辻本始温
永田町の衆議院第二議員会館にて開催された自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会

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