長崎でIR公聴会 離島への波及効果期待 依存症対策などに懸念も

IR区域整備計画案の公聴会で出た主な意見

 長崎県と佐世保市がハウステンボス(HTB)への誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の区域整備計画案について、県は30日、県民の意見を聞く2度目の公聴会を長崎市で開いた。離島を含めた経済波及効果や地域活性化へに期待する賛成意見や、依存症対策や反社会的勢力の排除を懸念する反対意見などが出された。
 28日の佐世保市に続いて開催。県内各振興局ともオンラインでつなぎ、事前応募による公述人として8人が発言。4人が賛成、4人が反対だった。36人が傍聴した。

公聴会でIR区域整備計画案について意見を述べる公述人(左端)=長崎市尾上町、出島メッセ長崎

 対馬振興局から発言した男性は、新型コロナウイルスなどの影響で冷え込む島内経済の窮状を訴え、「国内外から多くの人が訪れ、対馬にもその波及効果が期待できる」と主張。道路整備にもつながるとして積極的な推進を求めた。
 長崎市会場の女性の1人は、収支計画で売り上げの約8割が「カジノで誰かが負けた金」だとして「人の不幸で成り立つ産業で観光を活性化することが正常なのか」と疑問を呈した。依存症対策も不十分だと指摘した。
 県とIR設置運営事業予定者「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)は、2回の公聴会で計24人が述べた意見も踏まえ最終的な計画案をまとめる。県は佐世保市議会の同意、県議会の議決を得た上で4月28日までに国へ認定申請する。県企画部の吉田慎一政策監は「賛否両論さまざまな意見をいただいた。しっかりと分析し、反映できるものは反映したい」と述べた。


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