宇宙船「ソユーズMS-19」無事帰還、NASAヴァンデハイ飛行士は米国人の連続滞在日数を更新

【▲ 帰還後に笑顔を見せるNASAのマーク・ヴァンデハイ宇宙飛行士(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

日本時間2022年3月30日、ロシアの有人宇宙船「ソユーズMS-19」が国際宇宙ステーション(ISS)を離れて地球へ無事帰還しました。同船に搭乗していたアメリカ航空宇宙局(NASA)のマーク・ヴァンデハイ(Mark Vande Hei)宇宙飛行士は、米国人宇宙飛行士による宇宙連続滞在記録を更新しています。

ソユーズMS-19にはロシアのアントン・シュカプレロフ(Anton Shkaplerov)宇宙飛行士ピョートル・ドゥブロフ(Pyotr Dubrov)宇宙飛行士、それにヴァンデハイ宇宙飛行士の3名が搭乗。同船は3月30日16時21分(日本時間、以下特記無き限り同様)にISSを離脱し、同日20時28分にカザフスタン共和国ジェスカスガン南東へ着陸しました。

3名のうちヴァンデハイ飛行士とドゥブロフ飛行士の2名は、2021年4月9日に打ち上げられた有人宇宙船「ソユーズMS-18 “ユーリ・ガガーリン”」に乗り込み、同日中にISSへ到着。両名は第64次~第66次長期滞在クルーの一員として、ISSに355日間滞在しました。また、シュカプレロフ飛行士は2021年10月5日から第65次・第66次長期滞在クルーの一員としてISSに176日間滞在し、第66次長期滞在では船長(コマンダー)を務めています。

【▲ ソユーズMS-19の帰還モジュールがカザフスタンの大地に着陸した瞬間(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

これまでの米国人宇宙飛行士による宇宙連続滞在日数は、元NASA宇宙飛行士のスコット・ケリーさんによる340日間(2015年3月27日~2016年3月1日)が最長でしたが、ヴァンデハイ飛行士は今回この記録を更新して帰還しました。また、ヴァンデハイ飛行士にとって今回は2回目の宇宙飛行で、過去の飛行も含めた合計宇宙滞在日数を523日間に伸ばしています。

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なお、ロシアはウクライナへの軍事侵攻に踏み切ったことでアメリカをはじめ各国から制裁を科されており、ギアナ宇宙センターでの「ソユーズ」ロケット打ち上げ一時停止や、欧州宇宙機関(ESA)とロスコスモスによる共同火星探査ミッション「ExoMars(エクソマーズ)」2022年中の打ち上げ中止が決まるなど、宇宙開発・宇宙探査にも影響が及んでいます。

このような情勢下ですが、ヴァンデハイ飛行士は当初の予定通りロシアの宇宙船で地球へ帰還しました。NASAによると、3名の飛行士は一旦カザフスタンのカラガンダへと移動した後に、ヴァンデハイ飛行士はヒューストンの自宅へ、シュカプレロフ飛行士とドゥブロフ飛行士はモスクワ郊外の星の街(スターシティ)にある自宅へ戻るとのことです。

【▲ 帰還した3名の宇宙飛行士たち。左から:ヴァンデハイ飛行士、シュカプレロフ飛行士、ドゥブロフ飛行士(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

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  • Image Credit: NASA/Bill Ingalls
  • NASA \- Record-Setting NASA Astronaut, Crewmates Return from Space Station

文/松村武宏

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