縁起物の「挑花」作り大詰め 例大祭に向け熊野本宮大社

一つ一つ手作業で仕上げた縁起物の造花「挑花」(和歌山県田辺市本宮町で)

 和歌山県田辺市本宮町の世界遺産・熊野本宮大社の例大祭「本宮祭」(13~15日)に向けて、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を願う縁起物の造花「挑花(ちょうばな)」作りが大詰めを迎えている。

 本宮大社によると、挑花は菊の花を模した造花で、主祭神が本宮に鎮座する際に「我を祀(まつ)るに母神をも同じく祀れ」と言われたことから、母神を三重県熊野市にある花の窟(いわや)から迎え、花を奉じるなどして祭りをするようになったことが由来という。

 本宮大社の氏子総代会が昨年10月ごろから材料を集めるなど準備し、敬神婦人会のメンバーら4人が12月から制作を始めた。花の大きさは直径15センチほど。赤や黄、白色の紙をはさみで切って形を整え、花びらの部分を丸めるなどして、一つ一つ手作業で仕上げている。今回はコロナ禍が終息するよう願いを込めた白い短冊も1本ずつ取り付けており、約600本を用意する。

 挑花作りに携わって3年目という本宮町在住の岸谷和代さん(85)は「コロナ禍が早く終息し、今まで通りの平穏な日々を送れるように祈りながら、一本一本願いを込めて作らせていただいた。元気なうちは続けていきたい」と話した。

 挑花は15日の本殿祭に合わせて飾られ、午後からの渡御祭で氏子が持って旧社地・大斎原(おおゆのはら)へ渡御する。例年は餅投行事の際に授与しているが、今年は昨年と同様にコロナ禍の影響で餅投げはせず、同日の祭典終了後に参列者に餅と一緒に配る予定という。

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