ネコ用のおりにキツネ 和歌山県白浜町で捕獲

民家の裏庭に置いていたおりに入ったキツネ(和歌山県白浜町口ケ谷で)

 和歌山県白浜町口ケ谷でキツネが捕獲された。民家の裏庭に設置していた地域猫対策用のおりに入っていた。哺乳類に詳しい県自然環境研究会の細田徹治会長が、町内でキツネが捕獲されているのを確認したのは今年2回目。おりを設置していた60代男性は「ネコ以外でイタチが入ったことはあったが、キツネは初めて。まさかキツネが入るとは」と驚いていた。

 おりの大きさは長さ65センチ、幅28センチ、高さ28センチ。1月から設置していた。男性がキツネが入っているのを確認したのは3月27日午前7時ごろだった。周辺地域では、30年ほど前からキツネの目撃情報はなかったが、今年に入ってから数件あったという。

 県内に生息するキツネは減少している可能性があるとして県は、レッドデータブックの準絶滅危惧に分類するか否かを検討している。

 キツネ捕獲の報告を受けて写真を見た細田会長によると、捕獲されたキツネは、尾の毛が抜けていて、元気がなかったことなどから、疥癬症(かいせんしょう)に感染している可能性が高いという。男性は細田会長の助言を受けて、キツネを山へ返した。

 疥癬症は、ヒゼンダニというダニによって起こる皮膚病。感染した動物は元気がなくなり、衰弱して死んでしまうことが多い。細田会長は「キツネ以外に、タヌキ、アナグマ、カモシカでも疥癬症を確認している。疥癬症と思われる動物には絶対に触れないで。もし触れざるを得ない場合は、ゴム手袋をしたり、アルコール消毒をしたりしてほしい」と話している。

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