初の全車共通ハイブリッド搭載テストを完了。FR勢もノントラブルで3000km以上を走破/BTCC

 2022年から共通ハイブリッド機構を導入する世界初のツーリングカー・シリーズに変貌を遂げるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、シーズンに先立ち3月29日にドニントンパークで公式プレシーズンテストの最初のプログラムを実施。参加した全23台がコスワース・エレクトロニクス社製のTOCAハイブリッドシステムを組み込み、2000マイル(約3000km)以上のマイレージを走破した。名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の4冠王者、コリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)がトップタイムを記録している。

 4月6日のクロフト、そして4月13日にスラクストンで予定される公式テスト“メディアデイ”に先立ち、1.98マイル(約3.2km)のドニントンには2022年の年間エントリー29台のうち、参戦全チームから計23台の車両が集結した。

 その今季初テストを前に、ディフェンディングチャンピオンのアシュリー・サットンが電撃移籍し、こちらも新加入ダン・カミッシュとの強力タッグを結成したことで話題のモーターベース・パフォーマンスが、その“NAPAレーシングUK”としてエントリーする2台と対になる、オリー・ジャクソン/サム・オズボーンの新体制をアナウンス。

 こちらのフォード・フォーカスSTでは、自動車関連アフターパーツのブランドを展開するApecレーシングと、税務関連コンサルタントのビーバス・モルガンのサポートを得たレッドのカラースキームを採用した。

 一方、WSRとのジョイントチームを結成したマーク・ブランデル率いるMBモータースポーツは、ROKiT(ロキット)がタイトルスポンサーに就任するジェイク・ヒルの24号車BMW 330e Mスポーツの確定版カラーを公開。こちらはプライベートテスト時の暫定イメージを踏襲し、ブラックを基調としたシンプルな装いとなった。

 そんななか始まった今季最初の公式テストセッションでは、ここ数週間ですべてのチームに台数分のシステムが配布されたのち、大多数がこのテスト全日程を通じてハイブリッド機構をテストすることになった。ただし、一部のチームはまだすべての車両にインストールを完了する過程にあるため、6台が走行を見送っている。

 悪天候のため午前のセッション開始が遅れたものの、最終的に22台が250ラップ以上を周回。午後は23台が走行したチームとドライバーにとってより実り多いものとなり、まだタイム自体に大きな意味がある状況ではないものの、両方のセッションでターキントンが首位となった。NGTC規定ツーリングカーがハイブリッドパワーで走行した、記念すべき最初の1日をリードした。

■「ハイブリッドシステムを搭載することで、さらに高速なパッケージを実現できる」と4冠王者

元F1ドライバー、マーク・ブランデル(右)率いるMB Motorsportは、ROKiT(ロキット)がタイトルスポンサーに就任するジェイク・ヒルの24号車『BMW 330e M-Sport』の確定版カラースキームを公開
Motorbase Performanceは、自動車関連アフターパーツのブランドを展開するApec Racingと、税務関連コンサルタントのBeavis Morganのサポートを得たオリー・ジャクソン/サム・オズボーンの新体制をアナウンスした
Team Dynamicsのゴードン・シェドン(Halfords Racing with Cataclean/FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が全体2番手につけた
引き続き、TOYOTA GAZOO Racing UKのエースを務めるロリー・ブッチャー(トヨタ・カローラGR Sport)

「こうしてクルマに戻れただけでも素晴らしいし、本当に久しぶりな気がするよ」と語ったWSR不動のエースであるターキントン。「これが僕のハイブリッド最初の経験であり、システムを展開するとパワーの点で間違いなく違いを感じる。そのエクストラの出力に対し、現状はハンドリングとシャシーに焦点を当てる必要があるが、それでもトップタイムは気分がいいね」と続ける4冠王者。

「僕らはクルマをより速くし、機械的に良くしたいと思っている。その上でハイブリッドシステムを搭載することで、さらに高速なパッケージを実現できる。チームBMWとしてこの冬の間も懸命に取り組んできたし、いつでも走り出せる準備は整えてきた」

「それでも、今回のテストは信頼性がつねに考慮すべき主な焦点要素だったが、今日の僕のクルマは問題なく走り、テストプログラムを無事に消化することができた。環境の側面に配慮したハイブリッド機構に関して、その導入には最適な時期だったと思う。まだ多くの実験が行われている最中だが、今日はさまざまなソリューションを試せた。生産性も高く、次のクロフトに活かせる有意義なデータが得られたよ」

 そのターキントンに次いでコンマ1秒遅れの2番手に続いたのは、チーム・ダイナミクスのゴードン・シェドン(ハルフォーズ・レーシング・ウィズ・カタクリーン/FK8型ホンダ・シビック・タイプR)で、3番手には新たにスウィンドン・パワートレイン社製のヒュンダイ・ベース新開発エンジンを搭載するトム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8・トレードプライスカーズ.com/ヒュンダイi30 Fastback N Performance)が続くトップ3に。

 4番手には2021年開幕戦以来のドライブとなったカミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が入り、アダム・モーガン(カー・ゴッズ・ウィズ・シシリー・モータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)とヒル(MBモータースポーツ・パワード・バイ・ロキット/BMW 330e Mスポーツ)のBMWが続いている。

そのTGR UKは昨季のサム・スメルトに代わり、かつてBTCCで活躍したロブ・コラードの息子リッキーをテストで起用している
新加入ダン・カミッシュ(NAPA Racing UK/フォード・フォーカスST)が4番手タイムを記録
新たにSwindon Powertrain(スウィンドン・パワートレイン)社製のヒュンダイ・ベース新開発エンジンを搭載するトム・イングラム(Bristol Street Motors with Excelr8 TradePriceCars.com/ヒュンダイi30 Fastback N Performance)が3番手に
「システムを展開するとパワーの点で間違いなく違いを感じる」と首位タイム計時のコリン・ターキントン(Team BMW/BMW 330e M-Sport)

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