フリースクールや自主夜間中学校を運営するNPO法人珊瑚舎スコーレの星野人史代表は2日に那覇市内で講演し、学校法人の運営する私立の夜間中学校開設に向け3月31日に県へ設置認可を申請したことを明らかにした。来年4月に南城市佐敷に「珊瑚舎スコーレ 東表(あがりおもて)中学校」として新たに出発したい考えだ。
認められれば私立の夜間中学では全国初になるとみられる。星野代表は「誰にでも学びの権利を保障し、自信や喜びを感じられる環境づくりをサポートする学校をつくりたい」と思いを語った。
設置主体は、現在高等部や高等専修学校を担う「学校法人雙星舎(そうせいしゃ)」が担う予定だ。
現在の自主夜間中学はNPO法人が卒業証書を発行できないことから、在籍する公立中などが証書を発行する形をとっていた。「珊瑚舎スコーレの卒業証書がほしい」との声が上がっていた。
特例制度のため、県外では卒業と扱われない可能性もあったといい、私学の設置を決めた。
義務教育未修了者は学費を無料にしたい考え。
夜間中学は義務教育未修了者や不登校、外国籍で十分に義務教育を受けられなかった人らに対して教育を受ける機会を保障する場として、文部科学省は各都道府県に公立夜間中を1校は設置するよう促している。
開設にはハードルもある。開設に向けた相談を県総務私学課にしたところ「学習指導要領に沿っていない」などの指摘があったという。星野氏は「朝から夕方まで学校にいる学齢期向けの指導要領を、社会人や高齢者に当てはめるのは無理がある」と指摘。相談過程では行政の姿勢に変化もあるといい、動向を注視する。
県なども公立夜間中学を検討しているが、開設時期は見通せない。星野氏は「県の開設を待っていられない。『御真人(うまんちゅ)立夜間中』をつくる輪を広げたい」と語った。
(知念征尚)