官房長官、名護湾でのつり下げ「訓練の影響、最小限に」 名護市長と会談

 沖縄県の渡具知武豊名護市長は3日、来県した松野博一官房長官と名護市役所で会談した。米海軍が名護湾で実施したヘリコプターによるつり下げ訓練を巡り、渡具知市長は「提供施設外、事前通告なしの訓練は控えるよう米側に要請してほしい」と申し入れ、市として名護湾での訓練禁止を求めた。終了後、松野氏は記者団に「米軍に訓練は地域に与える影響を最小限にするよう申し入れた」と述べたものの、提供施設・訓練区域外での訓練の是非については明確に言及しなかった。

 松野氏は米軍キャンプ・シュワブに隣接する久辺3区(辺野古、豊原、久志)も訪問して区長らと面談したほか、防衛省交付金などで整備した施設を視察した。官房長官による久辺3区の視察は初とみられる。渡具知市長との会談は冒頭を除いて非公開で行われた。

 渡具知市長によると、名護湾での訓練禁止の申し入れに対し、政府として「米側に強く申し入れている」との回答があったという。政府はこれまで、名護湾など米軍への提供施設や訓練区域ではない場所での米軍機訓練についても、実弾射撃などを伴わない限り「各種訓練については認められている」との解釈を示してきた。松野氏は視察後の囲み取材で記者団に「再発防止策などについて米軍に強く求めるよう申し入れをいただいた」と説明した上で、「地元に与える影響が最小限にとどまるよう適切に対応する」との見解を示した。

 普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設については、「日米同盟の抑止力維持と普天間飛行場の危険性除去を考え合わせると、辺野古移設が唯一の解決策だ」と従来の見解を強調した。 (塚崎昇平)>>名護市長、官房長官面談で国道58号移設案を提示【地図付き】

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