【オンライン服薬指導】薬局以外の場所での実施容認/令和4年前期にパブコメ

【2022.04.04配信】厚生労働省は3月31日、オンライン服薬指導の薬剤師の場所について、薬局以外の場所を認める方針を示した。令和4年前期にパブリックコメントを実施、改正する。改正方針では、責任の所在の明確化のために薬剤師の「薬局所属」を求めるほか、患者のプライバシー確保の観点から「公衆の場で行うべきでない」などとしている。

薬剤師は「薬局所属」/「公衆の場で行うべきでない」

3月31日に開いた「第3回薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(WG)で次の通り方針を示した。

■オンライン服薬指導の薬剤師の場所に係る対応方針
オンライン服薬指導の薬剤師の場所に係る規定については、関連通知において「薬剤師がオンライン服薬指導を行う場所は、その調剤を行った薬局内の場所とすること。この場合において、当該場所は、対面による服薬指導が行われる場合と同程度にプライバシーに配慮すること」とされているが、当該規定を以下の方針に則り改正することとし、令和4年前期にパブリックコメントを実施する。

方針
① オンライン診療と同様に、薬局以外の場所でオンライン服薬指導を行う場合は、以下を遵守する。
ⅰ 責任の所在を明確にする観点から薬局に所属していなければならない。
ⅱ 薬局に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制を確保する。
ⅲ 患者のプライバシー確保の観点から公衆の場で行うべきでない。
ⅳ 騒音、劣悪なネットワーク環境など、服薬指導における適切な判断を害する場所で行うべきではない。
② さらに、オンライン診療と同様に、セキュリティ及び患者のプライバシーを確保する観点から、患者の心身の状態に関する情報を情報通信機器を用いて取得する場合には、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守するべき旨も明示する。
③ オンライン服薬指導に特有の事由としては、薬局が責任をもって調剤業務を果たすために、調剤行為等と服薬指導を一貫して行う必要がある点が挙げられる。このため、オンライン服薬指導を薬局以外の場所で行う薬剤師は、調剤が行われる薬局に所属し労務を提供している薬剤師とする。
※③は①ⅰを包含した概念となるので、関連通知の改正においては、①ⅱ~ⅳ、②及び③を盛りむ。
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000921954.pdf

なお、この改正においては、同WGの第2回において、「診療所以外の診察が許されている現状を踏まえれば薬局外での服薬指導を認めることは自然ではないか」との意見が出されたことなどを受けて方針を示したもの。第2回WGでの主な意見や、「オンライン診療の適切な実施に関する指針(抜粋)」は次の通り。

■第2回ワーキンググループ意見(抜粋)
令和4年3月10日に開催した第2回薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループにおいて、さらに、同ワーキンググループの事後的な意見募集において、薬剤師が自宅等において服薬指導を行うことについて、以下の意見があった。
(ご意見)
①診療所以外での診察が許されている現状を踏まえれば、薬局外での服薬指導を認めることは自然ではないか。
②在宅医は電話で診察することがあるが、その際には自宅でクラウド上の診療情報を見て処方もすることある。薬局もクラウドで情報が見られるようになるのではないか。
③災害時への対応には情報の電子化は必要ではないか。平時からの備えが必要。
④デマンドとニーズは違う。患者がオンラインを希望しても医療者の判断で対面を選択する場合がよい場合もある。ただし、選択肢を提示することは大事であり、基本は患者に選んでもらうべきではないか。
⑤プライバシーが保たれていること、業務システムや通信デバイスは医療情報の安全管理ガイドラインに準拠すること、が担保されていれば良いのではないか。
⑥録音等によるデータの管理を行うことは有用なのではないか。
⑦サイバー攻撃も想定した情報漏洩対策、バックアップシステムの構築方法等について、薬局開設者・管理薬剤師の管理監督の範囲と責任を明確にする必要があるのではないか。
⑧服薬指導の様子を撮影し、ネットで許可なく公開するなど、医療従事者側のプライバシー保護を考える必要があるのではないか。
⑨オンライン診療の診療報酬上の施設基準を参考にすべき。

■オンライン診療の適切な実施に関する指針(抜粋)
(1) 医師の所在
①考え方
医師は、必ずしも医療機関においてオンライン診療を行う必要はないが、騒音のある状況等、患者の心身の状態に関する情報を得るのに不適切な場所でオンライン診療を行うべきではない。
また、診療の質を確保する観点から、医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制を確保しておくべきである。
また、オンライン診療は患者の心身の状態に関する情報の伝達を行うものであり、当該情報を保護する観点から、公衆の場でオンライン診療を行うべきではない。
なお、患者の急病急変時に適切に対応するためには、患者に対して直接の対面診療を速やかに提供できる体制を整えておく必要がある。また、責任の所在を明らかにするためにも、医師は医療機関に所属しているべきである。

②最低限遵守する事項
ⅰ オンライン診療を行う医師は、医療機関に所属し、その所属を明らかにしていること。
ⅱ 患者の急病急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接の対面診療を行える体制を整えておくこと。
ⅲ 医師は、騒音により音声が聞き取れない、ネットワークが不安定であり動画が途切れる等、オンライン診療を行うに当たり適切な判断を害する場所でオンライン診療を行ってはならない。
ⅳ オンライン診療を行う際は、診療録等、過去の患者の状態を把握しながら診療すること等により、医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制を整えなければならない。ただし、緊急やむを得ない場合には、この限りでない。
ⅴ 第三者に患者の心身の状態に関する情報の伝わることのないよう、医師は物理的に外部から隔離される空間においてオンライン診療を行わなければならない。

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