好きなことを一生の仕事にしたい!学生起業し卓球場経営の道へ。Ping T Studio 吉川睦美さん【前編】

「学生起業家」と聞くとどんなイメージをお持ちですか?

IT系のスタートアップを想像される方が多いかもしれませんが、地域に根ざしたビジネスで学生起業をされている方もいます!

本日お話をお伺いした吉川さんは、2019年に22歳の若さで北海道札幌市に卓球場「Ping T Studio」をオープン。幼少時から大好きだった卓球を仕事にするための事業アイデアを発想し、「地域の人たちに愛される卓球場」というローカルビジネスで学生起業をされました。

卓球のレッスンを気軽に受けられる場所として、卓球愛好家の潜在ニーズを捉え、広告費ゼロでも来店者数が右肩上がりだそう。好きを仕事にするため、学生から起業の世界に飛び込んだ吉川さんに、ロカプレ編集長の原がお話をお伺いしてきました。

ロカロウ好きなことを仕事にできたら最高だけど、どうやって事業化できたのか、売り上げは?などなど、気になりますね〜後編はこちら
好きなことを一生の仕事にしたい!学生起業し卓球場経営の道へ。Ping T Studio 吉川睦美さん【後編】

Ping T Studio 共同代表 吉川睦美(よしかわ むつみ)

1997年生まれ、24歳、京極町出身。北海学園大学 経営学部に進学、4年生在学中に起業。2019年4月27日に「Ping T Studio」を創業。

学生起業に至った理由とそのきっかけとは

原:吉川さん、本日はよろしくお願いいたします。「大好きな卓球を一生の仕事にしたい」と大学4年生の在学中に起業したと伺っていますが、就職せずいきなり起業をすることに迷いや不安はありませんでしたか?

吉川:実家が京極町で農家を営んでいるので、むしろ幼い頃から「就職して会社で働く」というイメージがあまりなかったんですよね(笑)

原:確かに親も経営者、という経営者の方よく聞きますよね。では昔から経営者を目指していたんですか?

吉川:いえいえ、大学に入るまではそれほど考えていませんでした。

原:札幌の北海学園大学(以下「学園大」)に進学されたのですよね。大学で何かそういったきっかけがありました?

吉川:経営学部に通っていたのですが、とにかく起業を応援してくれる環境だったんですよね。起業支援に力を入れている先生が身近にいて、卒業生や在学生で起業家の先輩も多く、周りにも起業を考えている人がたくさんいたので、自分も自然と起業について考えるようになりました。

原:北海道の大学で「起業」との接点がそんなに身近な学校・学部があるとは知りませんでした。具体的に起業を考え始めたのは何年生の頃ですか?

吉川:本格的に起業について考え始めたのは大学3年生のときです。ゼミの教授の勧めで商工会議所の起業塾へ行ったのがきっかけです。

原:学生で起業塾に通う方って周りにいました?

吉川:学部の先輩がその塾に通っていたんですよ。

原:すごい身近なところに!環境の力って大きいですね。

吉川:でも実は大学受験のとき、本命は別の大学で、卓球の強い大学だったのですが一般入試で落ちてしまって…。何度か練習にも参加したりしていたのに、残念ながら落ちてしまって…すべり止めで受験していたのが学園大でした。

原:なんと!人生どうなるかわかりませんね。

吉川:ですねぇ。学園大に行ってなければいまの自分はきっとないですね。

卓球を「仕事」としてずっと続けたい、その想いが起業への原動力に

原:卓球で起業しよう、と決めたのはどんなきっかけでしたか。

吉川:卓球についてはさかのぼると長くなるんですが、始めたのは卓球好きだった母の影響です。小学生のときに始めてやって、それからちょこちょこと通うようになって。ただ小さい頃は遊びの延長でしたね。

原:ではその頃は「卓球大好き!」ってほどではなく?

吉川:はい、他の習いごともやっていたのでそのひとつという感じでした。夏は卓球・冬はスキーみたいな。中学から卓球部に入り、高校生になって徐々に卓球の面白さに目覚めてハマり始めたんですよね。その頃から、大人になってもずっと続けていきたいなと考えるようになりました。

原:ずっと続けるとなると、プロにも憧れましたか。

吉川:そうですね、卓球を仕事にしたいと思ってまず考えるのはやっぱりプロですよね。でも残念ながら、自分の実力を考えるとそれは無理!とわかっていたので、早いうちに諦めました。

原:まぁ…もしプロになれたとしても、選手として活躍できる期間は短かったりしますしね。

吉川:そうなんです!プロやセミプロの方達を見ていると、ある程度良い成績を残したあとは燃え尽きてしまうというか…引退後は卓球から離れる方も多い印象だったので。わたしはとにかく「ずっと」卓球に関わっていきたかったんですよね。その点でもプロ選手は自分が目指す方向とは違うかなと。

原:その辺りから「卓球」をテーマに起業を考え始めたんですね。

吉川:はい、大学に入ってからも卓球への愛は冷めることがなく、「選手としてではなく卓球に一生関わっていくにはどうしたらいいだろう」そんな悩みを周囲に話していたところ、大学の担当教授が「じゃあ卓球をテーマに起業しちゃえばいいじゃん」とおっしゃって。

原:まさかのノリと勢いのアドバイス!

吉川:ふふふ。それまでそんなこと考えもしていませんでしたが、まだ学生だったこともあり、今なら考えてやってみる価値はあるかもと、そこから卓球×起業の道を模索し始めました。

原:それで卓球場を始めようと思われたのですね。

吉川:いや、それが最初は卓球場をやるつもりはなかったんです!

原:え?!そうなんですか?

吉川:はい、最初に考えたビジネスプランは『卓球を教えたい人と、習いたい人、卓球のできる体育館、この3つをマッチングできるアプリ』です。

原:それはどういったところから思いついたのですか?

吉川:自分が学生の頃、部活には入っていましたが小さい町だったので、顧問の先生が卓球未経験だったり、卓球の上手な人に教わる機会が少なかったので、ずっと誰かに教えてほしいなーと思っていたんですよね。だから昔の自分が欲しかったサービスということで。

原:パーソナルトレーニングの卓球に特化したサービス、といった感じですね。そのビジネスプランはその後どうなったのでしょう?

吉川:それが、まずは体育館の候補として、身近な札幌市内の体育館を運営している団体へ行き、こういうことやりたいですと相談したら、「体育館は公共施設なので営利目的の利用はできません」と言われてしまい。場所が使えないなら卓球場を自分で作ろうと。

原:もう場所から作っちゃえと。

吉川:ですね。そこで『誰でもいつでも気軽に卓球ができる、ネット予約が可能な卓球場』に方向転換しました。

原:事前調査のおかげで、大きな失敗を防ぐことができたんですね。

吉川:できることから行動がモットーなので!アプリの開発とか依頼する前にわかって本当によかったです。

開業を決めてから卓球場をオープンするまでわずか○ヶ月?!

原:卓球場を開業する、と決めてから実際にオープンするまでにどのくらいの準備期間がありましたか?

吉川:1ヶ月です!

原:えぇっ?!すごいスピード感ですね?!

吉川:実は開業を決意した直後に、他の卓球教室が札幌に進出するかもしれないという噂を聞きつけたんです。それよりは絶対に先にオープンしないと!と、危機感を持ちました。そこからはもう迷わず突き進みましたね。

原:すばやい意思決定と行動力が、経営者としてチャンスを掴むために大事だということがわかりました。

吉川:でも結局そのチェーン店はまだ札幌に進出していませんけど(笑)

ロカロウ起業のきっかけになって今があるので、結果オーライということで!

起業前にやって良かったのは「人に会いに行くこと」

原:次に、起業前にやったことでこれはよかった、ということはありますか?

吉川:色々な人に会いに行って話を聞いていたことかな。その時に聞いた話が役に立ったり、あとから助けてもらったり、一緒に盛り上げていこうと応援してくれたり、その時のご縁が起業後にもつながっていると感じます。

原:具体的にはどんな方々ですか。

吉川:身近なところでは大学の先生たち、あとは業界に関係のある人たちですね。

原:業界の人たちとも接点があったんですね。

吉川:いえいえ、接点のあった人もいますが、自分から接点をつくって会いに行った人もたくさんいます!

原:どうやって接点を作られたんですか?

吉川:主にSNSです。卓球に関する情報発信をしている人たちに直接連絡をしました。

例えば、東京で卓球場をやっている業界で有名な方のYouTubeライブに参加して、その方とつながりを持つことができました。

原:確かに、オンラインでもそういったイベントの際だと気軽に声がけできますね。

吉川:普段からその人のYouTubeをチェックしていたのでライブにもタイミングよく参加できました。その後、そのYouTuberの方が「Ping T Studio」を紹介してくれただけではなく、そのライブを見ていた他の視聴者の人たちも、その後のわたしの活動を応援してくれるようになったり、思わぬところでつながりが広がることもありますね。

原:自分から動いてつながっていく、行動力がすごいです。

吉川:誰かに積極的に向かっていくだけではなく、Twitterとかで自分のやっていることを発信しているだけでも、応援してくれる人がどんどん増えていった感覚はありますね。いまはSNSで遠くに住んでいる人ともつながることができるので、こういう時代で本当によかったなと思います。

後編では気になるお金の話も。

SNSを活用して人脈を構築していく、小さなことから行動する、など、起業準備中の方もいますぐ取り入れることができるエピソードをお伺いできました。

後編では、集客方法や創業資金の調達に利用したクラウドファウンディングについてのお話などをお聞きしましたので、ぜひ後編もご覧ください!

後編はこちら
好きなことを一生の仕事にしたい!学生起業し卓球場経営の道へ。Ping T Studio 吉川睦美さん【後編】## 取材協力

Ping T Studio 共同代表 吉川睦美さん

住所:〒003-0003 北海道札幌市白石区東札幌三条6丁目1-1 第2小竹ビル3階
電話番号:070-4495-8465

https://twitter.com/mutsumi_pingt

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