回転扉式「行き来は重要」牧島デジタル相、野党の癒着懸念に反論

牧島かれん氏(資料写真)

 発足間もないデジタル庁が中央省庁として初導入した回転扉式の官民人材交流「リボルビングドア」。その是非を巡る論戦が4日の参院決算委員会で行われた。野党から情報漏えいなどへの懸念を指摘された牧島かれんデジタル相(衆院神奈川17区)は「高度な情報社会の実現に向けて人材の行き来は重要だ」と反論した。

 リボルビングドアはもともとホテル入口などにある「回転扉」の意味で、官公庁と民間企業との間での人材の双方向派遣をなぞらえた。現行の官民人材交流と異なり、同一人の頻繁な行き来を恒常化する。「究極の働き方改革」(与党の閣僚経験者)とも評され、米国ではホワイトハウスなどが専門性の高い組織からの出入りを繰り返す人材運用を行い成果を挙げているという。

 官公庁側は専門知識や技術を保有する人材の確保先が広がり、民間企業も政府での職務経験を通して公務経験や人脈を得られる。その一方で、人材を派遣した企業が内部情報を得るなどして公共事業の受注が容易になるといった癒着が発生する懸念も伴う。

 この日の審議で立憲民主党の川田龍平氏は「多様な人材が確保できる」などとリボルビングドアのメリットは認めつつも「政府情報の漏洩(ろうえい)など懸念は拭えない。入札などでの癒着も懸念される。この仕組みを継続するのか」とただした。

 「人材の行き来」の意義を強調した牧島デジタル相は、「国家公務員法の守秘義務など関係法令の網はしっかり適用される」と説明。入札など公共事業を巡っては「利害関係者は精査し参加の審査は厳格に行っている」などと述べ、癒着への懸念を突っぱねた。

 政府答弁などによると、デジタル庁には約700人が働き、そのうち約4割が民間出身者という。自民党幹部は「新しい働き方の認知が同庁の成否を握っているだけに牧島大臣も一生懸命なのだろう」とこの日の論説を解説した。

 リボルビングドアについては霞が関の関心も高い。「専門知識を持つ民間人材は垂ぜんの的で、その交流が円滑になるならありがたい」とした内閣府関係者は、「デジタル庁で成果が挙がれば追随する省庁が出てくる」と予測している。

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