<社説>プラごみ新法施行 削減へ行動する一歩に

 使い捨てプラスチック製品の削減に向けた新法「プラスチック資源循環促進法」が4月から施行された。 背景にはプラスチックごみによる海洋汚染の深刻化がある。政府は使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減を目指す。事業者だけでなく私たち一人一人が、使い捨ての行動を変える第一歩としたい。

 海に流れ出たレジ袋などのプラごみが生物に被害を与えている。沖縄美ら海水族館は21年11月、沖縄本島周辺のウミガメの約20%がビニールなどの海洋ごみを誤食しているとの調査結果を発表した。最近では、プラスチック製の不織布マスクが新型コロナウイルス禍によって世界各地の海へ流出していることが報告されている。

 英ハル大などのチームは昨年4月、プラスチックごみなどが壊れてできる5ミリ以下の微小なマイクロプラスチック(微小プラ)が、世界各地の魚介類に含まれていたとの調査結果を発表した。

 微小プラは、ごみとして海に流れ込んだ包装容器などのプラスチック製品が紫外線や波の力で劣化し、壊れてできる。人間は食事を通じて1人当たり年間5万個を超える微小プラを摂取している恐れがあるという。シーフードを好んで食べる日本の摂取量は世界平均よりも多く最大13万個に及ぶと推定。専門家は「人の健康への影響を評価するべきだ」と指摘している。

 社会全体でプラスチックの使用量を減らしていくしかないのである。

 今月から施行されたプラスチック資源循環促進法は、前年度に計5トン以上の使い捨てプラ製品を提供した事業者に有料化や軽量化、代替素材への転換などを義務付ける。

 フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、くし、カミソリ、シャワーキャップ、歯ブラシ、ハンガー、衣類用カバーの12品目が対象となる。20年7月のレジ袋の有料化に続く取り組みだ。

 国際的な連携も始まっている。国連環境総会(UNEA)は今年3月、世界で増加し続けるプラスチックごみを規制するため、法的拘束力のある国際協定をつくるとの決議を採択した。プラごみを削減(発生抑制)すると同時に、海外で海洋流出の原因になりかねないプラごみの輸出を中止し、再利用を進めなければならない。

 プラスチック循環利用協会によると、19年のプラごみの総排出量は850万トン。うち85%が再利用されている。再利用が進んでいるように見えるが、実態はそうではない。

 その6割が、燃やして熱を利用する「熱回収(サーマルリサイクル)」である。石油から作られたプラスチックを燃やすと二酸化炭素が発生する。この方法では地球温暖化につながってしまう。熱回収以外の再利用を工夫する必要がある。

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