<南風>産業ケアマネージャー

 2017年に育児介護休業法が改正され、仕事と介護の両立を可能とするための制度が整備された。企業と契約を結び、介護保険制度を使いながら仕事と介護の両立を、どう実現可能なものとするかを提案していくのが産業ケアマネージャーの役割である。

 企業で働きながら介護をする人はこれから増えていく。結婚していれば両方の親の介護を担うこともあるだろう。兄弟がいれば役割を分担して関わることができるが、今は核家族や子どもが2人の家族も多いから協力者も減る。

 介護は突然くるから会社も介護する人も慌てる。そしていつ終わるのかが見えない。なんの準備もないまま介護に突入し、仕事と介護の両立が困難になり離職につながる。そうなると企業にとっても経験豊富な社員さんが辞めていくのは大きなリスクになる。

 介護離職を止めるためにも「産業ケアマネージャー」の役割は大きいと感じている。介護はプライベートなこととして捉え、仕事とは切り離してしまう。

 介護することで起こる困り事や悩みを会社に相談することをちゅうちょしてしまう。そこで専門家である産業ケアマネージャーを介して介護と仕事をつなぎ、介護保険の勉強会を開催したり、相談窓口を設置して企業や個別相談の場を設けたりして企業の課題や介護者の課題を共に理解し解決していく。

 制度や助成金などの活用方法などのアドバイスをするなど介護者が安心して仕事が続けられるように対策を講ずる。

 介護と仕事が両立できる環境は、皆が働きやすい環境になると思う。採用と雇用定着にも一翼を担うことにもなるだろう。

 介護はひとごとではなく明日、わが身に起こるかもしれない。自分ごととして今から準備をしておくことをお勧めする。

(友寄利津子、NPO法人ライフサポートてだこ代表)

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