運輸業・丸野の〝働き方改革〟 属人化した業務を分担 リストアップし見える化

丸野が働き方改革を進めるため作成した業務一覧表

 運輸業の実践モデル企業、丸野(長崎市)は、総務経理部が働き方改革に取り組んだ。ありたい姿として掲げたのは「仕事を平準化、フォローし合って、笑顔で休みが取れる職場」。属人化した業務を分担したことで、平日に年次有給休暇や代休を取得。「一歩を踏み出せた」と効果を実感する。
 改革チームは総務経理部と人事部の20~60代7人で構成。これまでは、担当者だけが内容を把握している業務が多く、部員間の仕事量に片寄りがあった。頼みたくても、手伝いたくても関われず、残業が一部の人に集中。平日に休みづらい雰囲気もあったという。
 カエル会議では、それぞれの業務量を把握しようと、一部業務の引き継ぎで使用した一覧表を活用。細かく業務を書き加え、それらを経験したことがあるか印を付けて業務を見える化した。さらに、業務分担を加速させたのが新型コロナウイルス禍。部員の1人が濃厚接触者になって10日以上出勤できなくなり、急きょ3人で業務を分担。その後、引き継ぎにつながったものもあった。
 見える化した業務の230件中70件が属人化していたことを確認。うち3割を他の部員が担当できるよう引き継いだ。結果、ベテラン部員が約10年ぶりに有休を平日に取得したのをはじめ、それぞれ平日に休めたことでリフレッシュにつながったという。
 リーダーを務めた鍬塚英妙課長は「協力し合う雰囲気が生まれ、チーム力が上がった」と効果を実感。今後も改革を継続し、他部署にどう広げていくかを模索する。専門家として丸野を担当、働き方改革のコンサルティングを手掛けるワーク・ライフバランス社の桜田陽子さんは「働き方改革は上司が正しい答えを持っているわけではなく、若い人の視点も必要。役職に関係なく自由に発言し、形にしていけるフラットな雰囲気をつくることが大切」と話した。


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