長崎県の働き方改革、どう進める? 専門家派遣し支援 県内5事業者が実践

働き方改革実践モデル企業が取り組みを発表した最終報告会=県庁

 長崎県内企業の働き方改革を推進しようと、県は2021年度、実践モデル企業として5事業者を選び、約半年間、専門家を派遣し支援した。このほど最終報告会が県庁であり、各事業者が取り組みを発表。従業員が課題を洗い出すボトムアップ型で取り組んだ属人化解消策などを紹介した。
 県雇用労働政策課によると、県内の事業所(30人以上)の20年総実労働時間は月平均148.2時間で全国より約8時間長い。県が働き方改革支援に乗り出した背景には、企業が改革を実践することで職場環境の改善を図り、社員定着、経営安定の好循環につなげる狙いがある。
 モデル企業は建設業、製造業、宿泊業、卸売業、運輸業の各事業者。それぞれ昨年8月末から週1回程度、従業員代表が「振り返る」「変える」「早く帰る」の意味を込めた「カエル会議」を開催。ワークライフバランスの専門家の助言を受けながら、なりたい理想を共有、問題点を認識し、解決策を実行、検証する-というサイクルで進めた。
 報告会では、複数社が残業や休みにくさの背景に、ある業務を特定の従業員が担当し、他の従業員が分からない状態になる属人化を挙げ、解消へ向けた取り組みを紹介。従業員が抱える仕事の一覧表や力量マップを作製して業務を見える化、分担した事例や、マニュアルを誰もが共有できるよう一元化した事例などを報告した。
 県は22年度も事業を継続。今回の事例を参考に改革の進め方をまとめたマニュアルを作成予定だ。「各社とも改善が見える段階まで取り組めた。まず何から始めればいいのか手法を示していきたい」としている。


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