9連敗中の阪神に必要な「大胆な選手起用」 球団OBが期待する“鳴尾浜組”の逆襲

12球団で唯一まだ勝利がない阪神の打開策は?【写真:荒川祐史】

セ・リーグワーストの開幕9連敗と復調の気配が見えない阪神

泥沼から抜け出せるのか――。阪神は開幕からまさかの9連敗を喫し、セ・リーグワースト記録を更新した。5日からは本拠地・甲子園にDeNAを迎えるが、球団OBで野球評論家の野口寿浩氏は「チームとの相性もいいだけに、この3連戦をどう戦うか。逆にここで連敗することになれば苦しくなります」と分析する。

3月25日に行われたヤクルトとの開幕戦(京セラD)では、開幕投手の藤浪が7回3失点と力投するも、抑えのケラーら救援陣が踏ん張り切れずに最大7点あった点差を逆転された。誰もが予想だにしていない展開だったが、野口氏は「開幕戦の8回の継投ミス。あれで全ての流れを失ってしまいました」と指摘する。

5点リードの8回に2番手でマウンドに上がった齋藤が1死からサンタナに1号2ランを浴びると、2死一塁の場面で登板した岩崎が3連打を浴び、2人で4失点。9回には新守護神として加入したケラーが2本塁打を浴びて悪夢の黒星となった。

「斎藤に期待するのはいい。ですが、開幕戦で1勝を取らないと2勝目、3勝目と続いていきません。藤浪の力投を繋ぐためにも、8回はアタマから岩崎。結果的にケラーは打たれるかもしれませんが、9回まで持って行って、ベンチは仕事をしたと言えるのではないでしょうか」

DeNAとは2014年から8年連続勝ち越し中と相性は抜群、ソト、オースティンも不在

開幕戦の悪夢を払拭できず、そこからは泥沼の9連敗。12球団で唯一、まだ白星のないチームに打開策はあるのか。野口氏は5日からの本拠地・甲子園、そして相手となるDeNAが1つのポイントになると見ている。阪神はDeNAを相手に2014年から8年連続勝ち越し中と相性は抜群。さらにソト、オースティンの中軸が不在となっている。

阪神はここまで9試合を戦って、チーム防御率5.85、54失点はリーグワースト。目に見えないミスも多く、いかに無駄な失点を防ぐことが重要になるだけに、野口氏は「不幸中の幸いじゃないですが、(助っ人)2人がいないのは阪神にとって大きい。チームとの相性もいいだけに、この3連戦をどう戦うか。逆にここで連敗することになれば苦しくなります」と見ている。

さらに「チーム状況は難しいので、指を咥えて復調を待つのは得策じゃない。大胆な選手起用で流れを変えるのもありかもしれません」と語る。3日に右脚のコンディション不良でマルテが登録抹消されたことで、三塁手に佐藤輝、一塁手に大山を置くことも可能に。状態のいい選手を柔軟に起用すべきだと提言する。

外野の一枠には3日のオリックス2軍戦で2本塁打を放った陽川、ここまで10試合に出場し打率.278と復調の気配を見せる高山ら1軍経験者も控えている。さらに遊撃手では2年目の高寺も打率.270と着実に結果を残しているため「鳴尾浜組に期待するのもいいでしょう。思い切って動くのもあり」と見ている。

「外の声を気にせず冷静に、正常のメンタルに戻って戦えるかが大事」

選抜期間中ということもあり開幕戦は京セラドームで戦うことになったが、ついに待ちに待った“本拠地開幕”となる。甲子園での熱狂的なファンの声援が後押しになるが、連敗続きのチーム状況には一抹の不安もあるという。

「特に甲子園では、声援がプレッシャーに変わることもあるかもしれません」

開幕からの連敗最長記録は1955年のトンボ、1979年の西武(2分け挟む)の12連敗。本拠地・甲子園で流れを止めれることができるか、待望の今季初勝利をファンは期待している。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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