研究者の「ひみつ道具」紹介 7月20日まで京大白浜水族館

貝の採集に使うスパチュラ

 和歌山県白浜町の京都大学白浜水族館は、特別展「生物学者のひみつ道具展」を開いている。京大の研究者ら20人が採集時などに使っている道具計32点を紹介。特殊な物ではなく、市販品や一般家庭にもある物を使っていることも多く、「それらを集めたら面白いのでは」と企画した。

 特別展を考えた京大瀬戸臨海実験所の中野智之講師(43)は潮間帯生物の専門家。岩場に張り付いた貝を剝がす際に使うステンレス製の「スパチュラ」という道具を紹介している。本来は銀細工の加工に使うが、先端が薄くて平らなので、貝を傷つけずに採集できるという。

 このほか、採集した葉の保存に市販の茶パックと乾燥剤を使っていることや、ヤドカリを生きたまま取り出すために万力で殻を割っていること、ペットボトルのふたを使うと魚のうろこがきれいに取れることも、パネルや現物を並べて紹介している。

 中野講師は「どの道具も、試行錯誤の末にたどり着いた物ばかり。研究者がどのように使っているかを知ってもらうことで、自然科学への興味・関心の高まりにつながればいい」と期待している。

 特別展は7月20日まで。入館料が必要。無休。

研究者が採集現場で使う道具を紹介する特別展(和歌山県白浜町の京都大学白浜水族館で)

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