台湾で日本人投手が重宝されるワケ 楽天モンキーズCEOが語る“成功の秘訣”

楽天モンキーズ・川田喜則CEO【写真:球団提供】

楽天モンキーズ・川田喜則CEO、日本人コーチ3人を招聘した理由も語る

2日に開幕した台湾プロ野球。2020年に参入した楽天モンキーズは、これまでの2年間は優勝に届いていない。今季からは、3人の日本人コーチを招聘。強くなるため、どんな指導を期待しているのか。また今後、日本人選手の獲得を考えているのか。モンキーズCEOの川田喜則さんに聞いた。

台湾プロ野球は日本に比べて「打高投低」の傾向にあり、点の取り合いになることが多い。さらに、モンキーズはリーグの中でも打撃中心のチームのため、投手、捕手の育成と守備力の強化に取り組んでいくことが課題だという。

「昨年、台湾プロ野球を制した中信兄弟を指揮するのは、阪神でプレーした林威助監督です。中信兄弟はナンバーワンの守備率を誇った。そういう意味では、(緻密な)日本の野球を取り入れれば、いい結果が出るのかもしれません。モンキーズの打撃はトップですから、守る、抑える野球を目指し、3人の日本人コーチを招聘しました」

近鉄で捕手としてプレーし、引退後はNPBの楽天イーグルスや台湾・富邦ガーディアンズなどでコーチを歴任した古久保健二氏がヘッドコーチに就任。さらに元楽天内野手の西村弥氏が守備走塁コーチ、中日や楽天でプレーした元投手の川岸強氏が2軍投手コーチを担う。

楽天モンキーズ・古久保健二ヘッドコーチ【写真:球団提供】

日本選手が台湾で成功するには?「調整力やコミュニケーション力が必要」

台湾球界で活躍する日本人は少なくない。2021年シーズンも味全ドラゴンズで田澤純一投手、中信兄弟で高野圭佑投手らがプレー。投手が重宝されるのには、外国人選手の登録枠が影響している。

「台湾では、高校、大学を卒業してから『高いレベルでやりたい』と海外に出てしまう投手が多いです。そのため、いいピッチャーが欲しい球団は、外国人に頼ってくる。日本は支配下登録70人の中で無制限ですが、台湾では(外国人を)基本4人しか登録できません。限られた枠の中で、どうしても投手が多くなります」

日本球界でプレーする選手の中に、台湾で活躍できる選手は技術だけを見ればたくさんいるという。しかし、海外で活躍するためにはそれ以外の要因が重要になってくると話す。

「気候、食事、練習環境など日本とは違う難しい面はいろいろあります。周りが台湾人だけのチームに馴染むことができるか。暑さの中で、練習メニューも変わってくる。その中でパフォーマンスが出せるか。ただ単にいいピッチャーというだけでなく、調整力やコミュニケーション力が必要だと思います」

昨オフには、日本人選手獲得に向け数人をピックアップしていたが、外国人枠の関係で見送った。

「トライアウトに出た選手、出なかった選手含め十分に候補者として検討しました。私たちも日本人選手が台湾に来て活躍するのが楽しみです。選手の移籍は簡単ではありませんが、イーグルスは同じ楽天グループ内の球団ですから、今後はやりやすくなってくると思います」

今後、台湾球界で活躍する日本人選手は現れるのか。また、日本人コーチはチームにどんな影響をもたらすのか。今シーズンのモンキーズの戦いに注目したい。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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