「ドナーが半年早く見つかれば…」 16歳で亡くなった女性の短編映画 CFで資金募る

病院で出前授業を受ける小山田優生さん(右)。病気でも前向きに学び続けた(BLEA学園提供)

 骨髄移植のドナー(提供者)を増やし、命をつなぎたい-。白血病のため16歳で亡くなった宇都宮市の少女の闘病生活を描く短編映画を、在籍していた学校の関係者が制作している。少女の父親は、今も病と闘う子どもたちを思い、ドナー登録促進への願いを作品に込める。13日まで、クラウドファンディングで制作資金を募っている。

 映画は美容やファッションなどを学ぶ東京都の通信制サポート校BLEA(ブレア)学園の関係者が作っている。主役のモデルは同学園で学んでいた宇都宮市、小山田優生(こやまだゆい)さん=享年(16)=だ。

 優生さんは同学園に合格した直後の2018年7月、急性骨髄性白血病が発覚した。抗がん剤で治癒せず、入学前に状態が悪化し通学はかなわなかった。それでも県内の病院に入院しながらオンライン学習や出前授業を受けるなど、学ぶことを諦めなかった。

 骨髄移植のドナーはなかなか現れない。適合者が見つかったときには、すでに体力面で移植できない状態だった。20年4月、自宅で息を引き取った。

 父親の義憲(よしのり)さん(48)は、医師から「ドナーが半年早く見つかれば、対応は違っていたかもしれない」と告げられた。「タイミングが合わないと、助かる命がつながらない現実を目の当たりにした」と振り返る。

 日本骨髄バンクや県によると、県内のドナー登録者数は2月末現在、1万8180人。高齢化などで減少傾向にある。

 映画は約30分で、動画投稿サイト「ユーチューブ」で20日に公開予定。制作資金を募るクラウドファンディングは「READYFOR」のサイト(https://readyfor.jp/projects/87895)で行っている。

 優生さんはファッション分野を学び、写真スタジオを持つことが夢だった。義憲さんは「映画をきっかけにドナー登録の裾野が広がり、1人でも多くの命がつながってほしい」と期待を込めた。

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