3つの失敗事例に学ぶ、副業構築に失敗する共通の理由とは

先行き不安な時代、本業以外の収入源を作ろうと「副業」に関心を持っている方も多いのではないでしょうか?

そこで、森 新( @mori_arata )氏の著書『普通の会社員のための超副業力』(CCCメディアハウス)より、一部を抜粋・編集して避けるべき副業を紹介します。


副業構築失敗の三つの事例と要因

私は大学生時代から、広義の副業をいろいろとやってきました。その10年を超える期間において、自分自身の副業の失敗や、副業仲間の成功・失敗をそれぞれ見てきました。ここでは、「静かな失敗」の三つの事例について、具体的な例を挙げて紹介をしていきます。

下記の図を見てください。縦軸は副業で得られる仕事のやりがい、横軸は副業における継続日数としています。以下三つの名称をつけています。

なお、例に挙げた仕事はイメージを持ちやすくするために設定したものであり、これらの仕事を選ぶと失敗するというものではありませんので、ご注意ください。

出オチくん:出オチ型
こつこつ忍耐くん:心身疲弊型
あと一歩くん:市場淘汰型

「出オチくん」は、とある特技を持っています。その特技を使って仕事を受注しようと計画しました。クラウドソーシングのサイトを活用し、いままでの業務実績をPRして、晴れて案件を獲得。

ここまではよかったのですが、その先に想定を超える事態が続いていきます。

獲得したクライアントにも、いろいろな人がいます。

最初の依頼時には要件になかったことが次々と増える、ぶれる、時間に追われていく。

最初は強いやりがいを感じていたものの、本業中に自分のスマートフォンへのアプリの通知やメールを受信するたびに、本業の集中力がそがれていく。最終的には、睡眠や食事などの生活時間を削ってカバーをしてしまう――。

「こつこつ忍耐くん」は、求人サイトで見つけたアルバイトを、業務後と休日にこっそり行っています。アルバイト開始当初は、本業とはまったく違う環境で働くことに、とても新鮮な気持ちになっていました。

しかし、その気持ちも長くは続きません。本業のスキマ時間で入れるアルバイトのシフト数は、たかが知れています。結果、アルバイト収入は月間数万円。本業の時給単価と比較計算し、あまりにも大きく開いた差を自覚して、頑張る方向性を問い直したくなってしまいます。私が副業で実現したかったことは、これではないはずだ――。

「あと一歩くん」は、インターネットを通じた販売を行っています。趣味の知識を総動員し、仕入れ・販売を一気通貫で行って、競合を上回るコストパフォーマンスを実現。結果として、リピーターの獲得にも成功します。セールストークを日々工夫したり、写真などの見せ方を改善したりして、結果にますますの手ごたえを感じられるようになってきました。

しかし、あるときからリピーターが離れていきます。理由は、もっとコストパフォーマンスに優れた競合が現れたから。やむなく、価格を下げて対抗をするもの
の、キリがありません。終わりのない価格競争に突入してしまったのです――。

失敗に学ぶ。避けておきたい副業とは

先ほどの三つの事例がなぜ失敗したのかを、考察していきましょう。

「出オチくん」については、業務の指示が本業だけではなく、副業のクライアントからも飛んでくる状態になってしまい、常時追われる状況から脱することができなくなってしまいました。納期に一定の理解のあるクライアントを見つけられるとよかったのですが、副業を始めたばかりのため、クライアントを選べる立場ではありません。

結果として、本業の集中力をそがれる副業を選択してしまい、精神的に疲弊してしまいました。

「こつこつ忍耐くん」は、アルバイトであるがゆえ、業務の内容はルーティンワークが大半です。成長実感の得られない副業を選んだため、物足りなくなってしまい、続けられなくなりました。

「あと一歩くん」は、自らのビジネスアイデアで収益を確保し、成長実感も獲得できました。ここまでは非常によかったのですが、本業として挑んでくる強敵の登場で、しょっちゅう市場価格を注視しなければならない日々に。価格競争が激化し、最終的に勝ちきれず、利益なき繁忙に突入してしまいました。

これら三つの事例は、ともに外部環境によって淘汰されてしまい、副業構築に失敗しています。環境によって淘汰されてしまいやすい要因の例と対策を、本業に起因するもの、副業に起因するもの、両方に起因するものとして、下記の図で整理しています。

まず、両方に起因するものとしては、時間確保が困難になるという点です。本業と副業は、ときに時間を食い合う状況になることがあります。つまり、本業と副業は時間配分上のトレードオフの関係になっているのです。対策としては、時間配分のグリップを他人に握られない副業を選ぶことが必要です。

次に、本業起因の部分については、本業における各ステークホルダー(利害関係者)との調整が挙げられます。本業の職場の理解と協力まで得る必要はまったくありませんが、隠さねばならない副業は余計なエネルギーを消費させます。

「今日、○○の件、急遽お願いできないかな?」というリクエストに、「どうしても外せない予定があって……」を何度も繰り返すわけにはいきません。副業開始後、ある程度の時間が経っているとしても、人に言えない副業は継続しないほうが望ましいでしょう。

副業起因の部分については、本業に加えて、副業におけるステークホルダーとのコミュニケーションコストが肥大化しないよう、時間などの主導権をある程度は自分で持てる副業を選択することが挙げられます。また、楽しくない副業の場合、継続性が持ちづらくなるため、成長実感が得られるようなやりがいのある副業を選びましょう。

最後に、ある程度の副業の構築ができたとしても、利益なき繁忙に突入して疲弊していては意味がありません。副業の強みを利用し、競合が発生しづらいビジネスを構築していきましょう。

著者 森 新

[(https://www.amazon.co.jp/dp/4484212188)※画像をクリックすると、Amazonの商品ページにリンクします

「会社員+副業」は、最強の働き方。副業こそ、失敗しても何も失うものがないのです。
・現業か、起業か、転職か。脱3択へ
・「ローリスク」「ローリターン」「ハイインパクト」の会社員は最強の働き方
・めざすのは「年収500万円」ではなく「合計年収500万円」
・副業のタネを見つける3つのポイント
・副業が軌道に乗ったときに、本業をおろそかにしないバランスの取り方とは?
19万部超『アウトルック最速仕事術』『脱マウス最速仕事術』の著者(普通の会社員)が語る、副業の思考と実践法とは?大失敗と大成功のエピソードから得られる、新しい働き方のヒント。

© 株式会社マネーフォワード