火星のクレーター斜面に降りた二酸化炭素の霜。NASA火星探査機が撮影

【▲ 火星の南半球、エリダニア平原にあるクレーターの斜面(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)】

こちらは火星の南半球、エリダニア平原(Eridania Planitia)にあるクレーターの南に面した斜面を捉えた画像です。クレーターの縁より少し下ったところからは、クレーターの底(画像下側の範囲外)に向かって何本ものガリー(溝状の地形)が発達しているのがわかります。

火星では毎年冬の季節になると、高緯度の極域から中緯度の地域にかけて、表面に二酸化炭素の霜(ドライアイス)の層が形成されます。画像を公開したアリゾナ大学の月惑星研究所(LPL)によると、大抵の場合、霜が維持されるのは緯度50度よりも極域に近い高緯度の地域とされています。

ただ、緯度50度より赤道に近い低緯度の地域でも、日当たりが良くないクレーター内部の斜面などではドライアイスがみられるといいます。南緯37度付近のクレーターを撮影した冒頭の画像でも、青みがかった色合いに強調されている霜が、ガリーやその周辺に生じていることがわかります。

冒頭の画像はアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」(MRO:Mars Reconnaissance Orbiter)の高解像度撮像装置「HiRISE」(The High-Resolution Imaging Science Experiment)を使って高度254kmから取得された画像(2022年1月4日取得)をもとに作成されたもので、NASAが2022年4月5日付で紹介しています。

【▲ MROが取得したエリダニア平原のクレーターとその周辺の画像(モノクロ、上が北の方角)。右上のスケールバーは500mの長さを示す(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)】

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Source

  • Image Credit:
  • NASA \- Cold as (Dry) Ice
  • LPL \- HiPOD: 17 March 2022

文/松村武宏

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