【MLB】大谷翔平が開幕リアル二刀流で躍動できる理由 短縮キャンプでつかんだ揺るがぬ自信

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

キャンプ総括会見で“らしさ全開”「100%の努力をするという約束はできる」

エンゼルスの大谷翔平投手が5日(日本時間6日)、史上初の「1番・投手」での開幕戦出場へ向けて最終調整を終えた。試合前に異例の3日連続ブルペン入りして21球。敵地で行われたドジャース戦では「1番・DH」で先発出場して1打数無安打1四球。10試合連続出塁と上々の仕上がりを見せた。7日(同8日)に本拠地で行われるアストロズとの開幕戦へ向け、マドン監督は「準備万端だ」とGOサインを出した。

心の準備も整った。大谷のキャンプ総括会見。米メディアから「今年約束できること」を問われた時は“らしさ全開”だった。「どうなるか分からないのが野球。100%の努力をするという約束はできるかなと思います」。いつも通りの淡々とした口調だったが、これまで多くの偉業を作ってきた。その言葉には重みがあった。

超速で仕上げた。労使交渉の影響でキャンプインが1か月ほど遅れ、オープン戦の試合数も減少。投手では2登板、計5回2/3のみとなったが、この日の3日連続ブルペンなどで対応。オープン戦では34打席と、昨季の35打席から1打席減にとどめ、その中で10試合連続出塁と新たな役割となる1番打者へ準備した。「(ボールの)見え方はいいと思います。ボール、ストライクの見極めもいいと思うし、スイングもだいたいゾーンの中を振っている。いい結果になるためのプロセスは踏めている」と自信をのぞかせた。

開幕戦へゲン担ぎもせず「食事はゲン担ぎでは食べない」

開幕戦へゲン担ぎするようなこともない。20年オフから血液検査で摂取する食材を決めている。「食事はゲン担ぎでは食べない。血液検査をして、自分に合う食材、合わない食材によって決める。それは験担ぎではない。より1%でもいい結果が出るように、食べるものを決める」。あくまで自然体でオープニングゲームへ向かう。

二刀流を強力バックアップする存在もいる。1番・大谷の後を打つトラウト、レンドンの主軸コンビだ。大谷を含めたチームの核となる3選手が昨シーズン同時に出場したのは、わずか17試合のみだった。「安心感があると思いますし、一番計算して成績を出せる選手たちなので。(チームは)流れで得点するものなので、(トラウト、レンドンが)いるか、いないかで変わってきます」。体調不良で2試合連続でスタメンを外れていたトラウトについて、マドン監督は開幕戦で復帰する予定と語った。強打者が控えることで、昨季終盤に悩まされた過度な四球禍に苦しむこともなさそうだ。

チームは2014年に地区優勝したのを最後にプレーオフから遠ざかっている。それでも、このオープン戦では11勝6敗でカクタスリーグ首位。昨季終盤に「ヒリヒリする9月を過ごしたい」「球団は好き。ただ、それ以上に勝ちたい」と思いを語っていた大谷も手応えを感じているようだ。

「自信は変わらないですし、チームとしてすごくいい状態。チームの雰囲気としていいんじゃないかなと思うので。開幕につなげていけば、個人としてもいい成績が残るんじゃないかなと思います」。1918年ベーブ・ルース(レッドソックス)以来104年ぶりの2桁勝利&2桁本塁打はもちろん、2年連続MVPの偉業へ。確かな追い風を受け、メジャー5年目のスタートを切る。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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