「コロナ破たん」急増は潮目の変化か

 企業倒産は、コロナ関連の資金繰り支援策が効果をみせ、歴史的な低水準が続く。だが、2022年3月の「事業停止」や法的準備を含む「新型コロナ関連破たん」は、月間最多だった2020年12月の179件を大幅に上回り、226件に達した。
 国内初のコロナ感染が確認されてから3年目に入る。コロナ破たんは、2021年2月から2022年3月まで14カ月連続で100件を上回っているが、ゼロ・ゼロ融資の借入返済が始まるなか、「倒産」にも変化の兆しが見える。
 コロナ破たんは、4回目の緊急事態宣言が解除後の2021年10月から12月まで3カ月連続で月間最多を更新した。2022年に入り、いったん落ち着いたかにみえたが、3月は月間最多を更新し、4月1日も19件が判明した。破たんピッチが早まり、水面下に潜んでいた倒産の増加も現実味を帯びている。

コロナ破たんの業種が広がる

 コロナ破たんは、2019年度(2020年2月、3月)は25件だった。それが2020年度は1,231件に急増し、2021年度は1,938件と前年度の約1.6倍(57.4%増)へ大幅に増えた。
 2021年度は協力金などの支援のあった飲食業が323件(構成比16.6%)と、前年度比約1.5倍と急増。さらに、工期延長や資材高騰が影響した建設業も231件(同11.9%)と、前年度から2倍以上増えた。
 コロナ禍に加え、燃料高騰の影響を受ける運輸業は85件(前年度44件)に急増。幅広い業種でコロナ破たんが発生し、全体を押し上げている。

都市部から地方に広がるコロナ破たん

 これまでコロナ破たんは都市部で目立ったが、2021年度は全国に広がった。2021年度は東京都388件、大阪府196件、福岡県110件、兵庫県96件、愛知県86件と都市部を中心にしながらも、前年度比2倍以上の増加は山梨県(1→8件)、徳島県(3→13件)、秋田県(4→14件)、香川県(9→27件)など16府県に達し、地方の増加が顕著になっている。
 件数の減少は、福井県(14→10件)、高知県(7→5件)など4県にとどまった。

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 政府は中小企業活性化パッケージを公表し、コロナ関連の施策は、資金繰り支援から過剰債務への対応へシフトしている。
金融機関の担当者は、「コロナ前から経営不振だった企業の脱落が始まりそうだ」と警鐘を鳴らす。ゼロ・ゼロ融資など支援策の副作用ともいえる過剰債務の返済めどが立たず、新たな資金を調達できない企業も増えている。
 コロナ破たんの急増は、企業倒産の転換を示す前触れなのか。今後の動向が注目される。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年4月7日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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