浜の活力再生プラン 長崎県初の水産庁長官賞 壱岐のサワラ ブランド化など評価

「壱岐さわら『極』」をPRする漁師たち=壱岐市

 サワラの品質向上などに取り組む長崎県壱岐市の壱岐東部地区地域水産業再生委員会(浦田和男委員長)は、2021年度の浜の活力再生プラン優良事例表彰で水産庁長官賞を受賞した。サワラのブランド化とカキ養殖の拡大による雇用確保が評価された。水産庁によると、本県団体の受賞は初めて。
 同庁は17年度から、漁業所得の向上とコスト削減対策に取り組む浜の活力再生プラン策定を全国で推進。他の地域の模範となる優良な活動を毎年、表彰している。
 同再生委は同市芦辺町の東部漁協や壱岐東部地区漁業者協議会などで構成。冬場に漁獲されるサワラは同地区内の漁業生産量の約4割を占め、細かな品質基準をクリアしたものを「壱岐さわら『極』」として出荷し、市場で高く評価されている。

冬場の休漁時期に養殖カキの出荷作業を行う海女たち=壱岐市、東部漁協(同漁協提供)

 しかし、鮮度が落ちやすく、身割れなどの品質劣化が起きやすいため、同再生委は「さわら『極』部会」を設立し、釣り上げから出荷までのガイドラインを策定。市場の仲買業者と連携し、ブランド化を進めている。
 壱岐東部地区はウニ漁などが盛んだが、漁期が5~9月に限定されるため、休漁中の収入確保が課題だった。東部漁協が冬場に繁忙期を迎えるカキ養殖を直営で実施。海女(あま)を中心に地元漁業者を雇用し、漁業所得の向上を実現した。
 浦田委員長は「福岡市の長浜鮮魚市場や販売店などへ何度も足を運び、市場や購入者と話し合いを重ねて、『極』のブランド化が実現した。地域活性化のために漁業者の協力でいただいた賞」と喜びを語った。


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