京都府知事選挙の投票に行くときに知っておきたい! これからの京都府に関する5つの数字(原口和徳)

京都府知事選挙は4月10日に投開票日を迎えます。

新型コロナウイルス感染症への対策を重ねる中で、府政に興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。これからの京都府政を考えるきっかけとなるべく、5つの数字で京都府を取り巻く状況を紹介します。

「255.1万人」→京都府の人口は2000年代に入ってから徐々に減少

府の統計によると京都府の人口は255.1万人(2022年3月)です。府の人口は2004年に約265万人を記録して以来、緩やかな減少を続けています。

また、少子高齢化も進んでいます。

府民の内、65歳以上の方の割合は2000年に17.4%でしたが、2020年には29.3%まで上昇しています。一方で14歳以下の子どもが占める割合は2000年に13.6%であったものが2021年には11.4%に減少しています。

5,399人→年間出生数12年前と比べて約25%減少

府民の年齢構成の変化は様々な形で表れています。

例えば出生数です。その年における各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計した合計特殊出生率は2008年と2020年で同じ1.22であったものの、出生数は2008年21,839人から2020年16,440人へと減少しています。このことの背景にあるのが、出産適齢期の女性の減少です。

年齢別の転出、転入の状況をみると、京都府では20代~30代前半の転出超過が目立っており、2020年は当該世代だけで4,695人の転出超過となるなど、徐々に転出超過者数が増加しています。

一方で、出産適齢期の女性は働き手世代でもあります。

男女共同参画白書によれば、京都府での25歳~44歳の女性の就業率は2015年に72%ととなっています。同指標は2000年時点では58.5%でしたので働く女性の増加が新たな公的支援のニーズを生み出していることが推測されます。

女性の社会参画における環境整備状況を表す情報として使用されることの多い待機児童数は、保育所で6人(2021年4月。前年から42人減少)、放課後児童クラブで28人(2021年5月。前年から4人減少)となっています。また、仕事と育児を両立するために求められる「休日・夜間・病児病後児保育」を行っている施設数は府の目標100か所に対して実績86か所(2019年)となっています。

これまで京都府では少子化対策のために、具体的な数値目標も立てながら様々な取組みを重ねています。残念ながら出生数は目標とする年間22,000人には届かない状況ですが、今後就職や転職をきっかけにした流出ではなく、働き手世代が府外から集まってくる、戻ってくるようにするためにはどのような環境整備が求められるでしょうか

「2,053人」→2023年に不足が見込まれている介護人員数

府内での65歳以上の方の急増は、数年後には、より社会的な支援が必要となる方の割合が増す75歳以上人口の増加につながっていきます。

2021年には75歳以上の方は府民の15.4%ほどですが、2025年19.0%、2030年20.1%と8年後には府民の5人に1人が75歳以上となることが見込まれています。

そのような中で懸念されるのが介護環境です。

厚生労働省の調査(介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)によると、2019年度に京都府内には4.0万人の介護職員の方がいましたが、2023年には4.5万人の需要が見込まれています。

介護職員の増員は進められていく見込みですが、2023年に見込まれている職員数は4.3万人と2,053人程度の不足が予想されています。

また、高齢者の方の中でひとり暮らしをする方の割合も増加しています。京都府では、総世帯の内、高齢者単身世帯の割合が2010年には9.2%であったものが、2025年14.9%、2035年16.8%と上昇することが見込まれており、2035年には京都府内の総世帯のうち1/6が高齢者単身世帯となる見込みです。

介護人材については、他の都道府県においても深刻な人材不足が見込まれており、今後、人材の争奪戦ともいえる状況になる可能性があります。その時により影響を受け、他の地域への移動をしやすいのは、地域とのつながりの薄い若い世代の方です。

お年を召された方が安心して地域の中で暮らしていける環境を作るためにどのような取組みが必要となるのか、各候補者の見解が注目されます。

1.10倍→有効求人倍率は前年同月よりも改善

一般職業紹介状況によれば、京都府内の有効求人倍率は1.10(2022年2月)と前年同月から0.11ポイントほど改善しています。2019年度の年度平均が1.58であったことを踏まえるとコロナ禍前の状況とは差がありますが、一番苦しい状況からは回復しつつあることがわかります。

京都府内の就業環境の特徴としては、非正規雇用労働者が多いことも指摘されています。2017年には府内の就業者のうち非正規雇用の方の割合は4割を超えており、全国で2位の高水準にあること及び若年層で全国との差が大きくなっていることが府の資料で報告されています。

大学等の多い京都府は、大学入学年齢である15歳~19歳の年代で転入超過になるという特徴があります。府の未来の担い手である若者がそのまま府内で活躍の場を得るためにはどのような取組みが求められるでしょうか。

99.7%減→外国人宿泊客がほぼゼロとなってもうすぐ2年が経過

京都市観光協会によると2022年2月の市内主要ホテルの客室稼働率は32.1%とコロナ禍前の2019年同月の78.5%からは46.4ポイント減少しています。外国人延べ宿泊数は2019年同月比99.7%減となっており、外国人宿泊客がほぼゼロの状態となってもうすぐ2年が経とうとしていることが報告されています。

府の報告書によれば、2019年の実績において京都府全体の観光入込客数の6割、観光消費額の9割強が京都市によるものとなっています。京都市観光協会の報告と合わせて考えると、新型コロナウイルスが京都の観光産業に与えた影響の大きさがうかがわれます。

今後、GoToトラベルキャンペーンの再開なども見込まれていますが、感染症対策と社会経済活動の両立をどのように図っていくことになるのか、選挙を通じた府民の選択が注目されます。

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