ブルーオリジンの「ニューシェパード」が4回目の有人宇宙飛行に成功

米国の民間宇宙企業ブルーオリジンは、同社が開発する有人宇宙船「ニューシェパード」による4回目の有人宇宙飛行に成功しました。今回の飛行は「NS-20」ミッションと呼ばれており、ニューシェパード宇宙船にとって通算20回目の打ち上げ(無人試験飛行を含む)となりました。

【▲ テキサス州西部にあるブルーオリジンの施設から打ち上げられた宇宙船「ニューシェパード」(Credit: Blue Origin)】

乗客5人とブルーオリジンのエンジニア1人の合計6人を乗せたニューシェパード宇宙船は、米国東部夏時間2022年3月31日9時59分に、米国テキサス州西部にある同社の施設から打ち上げられました。宇宙船は徐々に高度を上げ、高度107kmの最高地点に到達。その後はパラシュートを開き、打ち上げから10分後に無事着陸しました。また、宇宙船のブースター部分も着陸に成功したとのことです。

なお、ニューシェパードは地球を周回する軌道には乗らずに帰還する「サブオービタル飛行」(弾道飛行)を行う宇宙船で、搭乗者が乗り込むカプセル部分と、カプセルを打ち上げるためのブースター部分から構成されています。

【▲ パラシュートを開いて帰還するニューシェパード宇宙船のカプセル(Credit: BlueOrigin)】

このミッションで宇宙船に搭乗した乗客5名はいずれも民間人です。アメリカで小売店「Party America」を立ち上げた実業家のMarty Allen氏、「Tricor International」のCEOとして不動産業を営むMarc Hagle氏、その妻でSTEAM教育活動を実施する非営利団体「Spacekids Global」を設立したSharon Hagle氏、起業家のJim Kitchen氏、民間宇宙企業「Commercial Space Technologies」の社長を務めるGeorge Nield博士が搭乗しました。

【▲ 今回実施された「NS-20」ミッションの搭乗者6名(Credit: BlueOrigin)】

また、当初の計画ではアメリカのTV番組「サタデー・ナイト・ライブ」の出演者として知られるコメディアンのPete Davidson氏も搭乗する予定でしたが、打ち上げ延期によりキャンセルとなったため、Davidson氏に代わりブルーオリジンの社員であるGary Lai氏が搭乗しました。2004年に入社したGary氏は、ニューシェパード宇宙船のカプセル開発や設計に携わっています。同社は2022年以降もより多くの有人および無人飛行を計画しているということです。

【▲ ニューシェパード宇宙船の中で無重力状態を体験する搭乗者たち(Credit: BlueOrigin)】

関連:『スタートレック』のカーク船長が宇宙から地球を眺める ブルーオリジン、ニューシェパードの打ち上げ成功

Source

  • Image Credit: Blue Origin
  • Blue Origin \- Blue Origin Successfully Completes Fourth Human Spaceflight
  • Blue Origin \- Blue Origin's 20th Mission to Space
  • SpaceNews \- Blue Origin flies six on first New Shepard suborbital flight of 2022

文/出口隼詩

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