アロンソがマスタング、ペレスはホールデンに試乗「コース幅を目一杯使えて楽しかった」/RSC

 今週末4月7~10日にアルバートパーク・サーキットで開催されるF1第3戦オーストラリアGPに先立ち、フェルナンド・アロンソとセルジオ・ペレスがRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの現役レースカーを初体験する機会が実現した。

 それぞれBWTアルピーヌF1チームとオラクル・レッドブル・レーシングに所属するふたりは、週末2回のスーパーカー予選セッションに続いて、特別にアレンジされたデモンストレーションラップのためにトラックイン。

 アロンソはトーマス・ランドルがドライブするティックフォード・レーシングのフォード・マスタング55号車を、ペレスは2022年にレッドブル・アンポル・レーシングからトップカテゴリー昇格を果たした新鋭ブロック・フィーニーのトリプルエイト・レースエンジニアリング製ホールデン・コモドアZBのステアリングを握っている。

 2022年のRSC第3戦として実施されるF1併催戦『Beaurepaires Melbourne 400』を前に、現地木曜から再構成されたアルバートパークのレイアウトで2回のプラクティスを実施したスーパーカー勢は、金曜最初の2ヒートを前に恒例となるF1スターのゲストドライブを開催した。

 2019年には当時レッドブル所属のダニエル・リカルドがケリー・レーシングのニッサン・アルティマをドライブし、現F1チャンピオンのマックス・フェルスタッペンも同年にジェイミー・ウインカップのシートを経験。さらに以前の2011年には、ジェンソン・バトンが“聖地”マウントパノラマでトリプリエイト製コモドアのステアリングを握り、当時の非公式ラップレコードを更新している。

 その最新リストに加わったアロンソは、初試乗となったマスタングのレースシートを「とても楽しい経験だった」と評した。

「これはちょうどGT3とNASCARの中間のようだね。コーナーでは重くて柔らかいフィーリングだけど、とてつもないパワーを感じる。そのV8エンジンのサウンドと“ノイズ”は最高だ」と、自身も多彩なレースカーでキャリアを積むスペイン出身の元F1ワールドチャンピオン。

「このクルマが一斉に競争し、25台が1秒以内で勝負を繰り広げていると聞いたんだ。それは本当に素晴らしいことだね。僕ら(レーシングドライバー)は自分たちのクルマをまるで“赤ちゃん”のように世話しているから、他の誰かに自分のクルマを運転させることは大きなプレッシャーだろうね」と笑顔を見せたアロンソ。

「だからこそ彼(ランドル)がハッピーでいられるように、僕はこのクルマの振る舞いを徹底的に見極め、彼に無事返すことに集中したよ(笑)」

■ブレーキングが最大の課題と話したペレス「でも、それが本当に楽しいんだ!」

フェルナンド・アロンソは、トーマス・ランドルのTickford Racingフォード・マスタング55号車をドライブ
サイドシートに元Super2王者の「持ち主」を伴ってコースイン。この木曜に26歳の誕生日を迎えたランドルにとっても「最高の経験」に
「コーナーでは重くて柔らかいフィーリングだけど、とてつもないパワーを感じる」と評したアロンソ

 シートから降りたアロンソには、現地報道陣から当然のように「将来的なスーパーカーへの挑戦は?」との質問が飛んだが、F1キャリア通算32勝、ル・マン24時間覇者でもあるアロンソは、笑顔と含みを残すコメントで切り換えした。

「ここには誰もが知っているいくつかの素晴らしいレースがあり、バサースト1000がもっとも人気のイベントであることに疑いの余地はないよね。それ自体は僕の短期計画に含まれてはいないが、決して(参戦の)可能性がないわけじゃないさ」

 一方、昨季からレッドブルカラーのマシンをドライブするペレスは、ハードルーフを持つ“ティントップ”でも同じカラーリングの車両に乗り、改修されたアルバートパークのレイアウトを体験。ホールデン・コモドアZBを降りた後も、終始笑顔でスーパーカー初ドライブを振り返った。

「何よりブレーキングが最大の課題だった。コーナー進入時にマシンのアングルをコーディネートするブレーキ効率が、僕の経験とはまったく異なる世界だったんだ」と続けたメキシコ出身のペレス。

「でも、それが本当に楽しいんだ! 僕らが今乗っているF1では、使える縁石の量が(主に空力的な要因で)ほとんど制限されているけれど、このクルマではまたぎ放題。あらゆる場所でトラック全体を使用することができたよ」と笑顔のペレス。

「それに(普段使うパドルシフトでなく)フロアから生えるシーケンシャルのギヤシフトも最高だ。これもクラッチを使わない半自動システムだけど、回転合わせの必要があるのもクールだね。その点でコーナリングはかなりトリッキーになるけど、これも素晴らしい経験だった。最高に楽しかったよ」

 週末のオープニング2レースに向け、すでにデビッド・レイノルズ(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)と、強豪シェルVパワー・レーシングのウィル・デイビソン(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)がポールポジションを獲得。金曜の2ヒートを含め、この週末は20周スプリントの4戦が予定されている。

セルジオ・ペレス(左)は、2022年にRed Bull Ampol Racingからトップカテゴリー昇格を果たした新鋭ブロック・フィーニーのホールデン・コモドアZBのステアリングを握った
1395kgの車両重量を誇るスーパーカーで、まずブレーキング時の感覚に「驚いた」とペレス
金曜の2ヒートを含め、この週末は20周スプリントの4戦が予定されている

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