プロ初安打、直後に痛恨ミス… 新庄ビッグボスが日本ハム20歳に求める理想の姿

日本ハム・上野響平【写真:荒川祐史】

上野は3回、プロ3年目6打席目で初安打となる左翼線二塁打

■楽天 3ー0 日本ハム(8日・札幌ドーム)

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日本ハムの上野響平内野手が8日、本拠地・札幌ドームで行われた楽天戦でプロ初安打を放った。しかし直後には得点機を逸する痛恨の走塁ミス。これが大きく響いてチームはパ・リーグ最速10敗となったが、成長過程の20歳の内野手に、新庄剛志監督は大きな期待を寄せている。

試合後、囲み取材を行わなかったビッグボスだが、広報を通じて発したコメントは「上野くんプロ初ヒットおめでとう!! ここからガンガン成長して欲しい!!」。若武者の記念すべき1本を称えていた。

1軍昇格即スタメンに抜擢された6日のロッテ戦に続き、「9番・遊撃」で出場した上野。6日は持ち前の守備力を発揮した一方で、打撃は見逃し三振、右飛、一飛の3打数無安打に終わっていた。この日の朝、ビッグボスから「どんどんいけ、見逃し三振をするな」と言われ、積極性を意識。1点を先制された直後の3回の第1打席、カットボールを左翼線へ運ぶ二塁打は、プロ3年目6打席目にしてうれしい初安打となり「初球からしっかり振っていこうと思った結果、甘く入った変化球を拾えたので良かった」とうなずいた。

三塁側ベンチで喜ぶチームメート。さらにビッグボスがベンチ前に出てきて、戻ってきた記念球を二塁ベースの上野に向かって掲げた。実はイースタン・リーグで打率.120と決して好調とは言えなかったが「俺が上野くん上げてって。守備の面もあるし、打たせたい」とビッグボス自身もこの瞬間を待ちわびていた。「イメージ的には宮本慎也さん。しぶとさがあって、気が付いたらヒット打たれているみたいな。嫌でしたもん、守っていて宮本さんは。(上野も)もの凄く考えさせられるバッター、選手になってくれたらいい」と“嫌らしい打者”になることを求めている。

記念すべき初安打にも笑顔なし「チームの流れを切ってしまった」

しかしまだまだ課題はある。1死二、三塁で野村が左飛を打ち上げると、宇佐見だけでなく二塁走者の上野もスタート。宇佐見が本塁へ到達する前に三塁手・渡邉佳にタッチされて併殺となり、得点機を逸した。記念すべき日にも上野の顔に笑顔はなく「完全に判断ミス。本当にチームの流れを切ってしまったので、そこをもう1回反省しないといけないと思う」と振り返った。

それでも6回の第2打席は粘って四球。楽天先発・早川の前に7回までわずか2安打1四球に封じられた中で、上野は2度の出塁と“嫌らしさ”を示した。さらに、これはチームの活性化にもつながるだろう。「上野くんが(1軍に)来たことによって、また(他の)内野手がもっといいプレーをしようと思うだろうし。何がいいって、ライバル心が高まること。競争がなくなることが一番怖い」と話していたビッグボス。この日の上野の姿に発奮する選手がいれば、それこそ狙い通りだ。

わずか3安打で早くも5度目の零敗。厳しいシーズンの船出であることは間違いないが、この競争がチームを活性化させる。上野自身もまた、喜びと悔しさを手に、レベルアップを目指す。(Full-Count編集部)

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