主軸離脱は一緒なのに…対照的な鷹と西武の違いとは? 辻監督も脱帽した底力

ソフトバンク・藤本博史監督(左)、西武・辻発彦監督【写真:藤浦一都、荒川祐史】

怒涛の4連打と相手のミスに付け込む抜け目のなさ

■ソフトバンク8-1 西武(8日・ベルーナドーム)

就任1年目の藤本博史監督率いるソフトバンクは8日、敵地ベルーナドームで行われた西武戦に8-1で圧勝した。柳田悠岐外野手が左肩腱板炎で出場選手登録を抹消されたショックを跳ね返し、両リーグを通じ今季10勝一番乗り(1敗)。敗れた西武の辻発彦監督も“底力”に脱帽するしかなかった。

故障で打線の主軸を欠くチーム同士の対戦でもあった。ソフトバンクは栗原陵矢外野手に続いて柳田も離脱。一方の西武も、主砲の山川穂高内野手が3月30日に右太もも裏の軽度の肉離れを発症し、4月3日には正捕手の森友哉捕手も右人さし指骨折で抹消されている。

ただ、ギータが抹消された7日から2連勝のソフトバンクに対し、西武は山川離脱後は1勝もできず2年ぶりの7連敗。辻監督は試合後「ソフトバンクさんも主力を欠いているが、小技ができる打者、しつこい打者が多いね」と脱帽した。

ソフトバンクはまず3回に西武のエース・高橋光成投手を攻め、先頭の上林誠知外野手が右前打で出塁すると、続く甲斐拓也捕手が初球にすかさず送りバントを決めた。これが2死後、牧原大成内野手の先制適時打につながった。

エース千賀は7回3安打1失点で2勝目「情けない投球」も野手に感謝

その裏にいったん同点に追いつかれるも、続く4回には先頭の中村晃外野手から柳町達外野手、フレディ・ガルビス内野手、上林が怒涛の4連打で2点勝ち越し。なおも無死一、二塁として第2打席に入った甲斐は再び送りバントの構えを見せたが、初球の高めのボール球にバットを引くと、相手の柘植世那捕手が捕逸し、労せず二、三塁に。甲斐は三振に倒れたが、続く1番・三森大貴内野手がカウント1-2から低めのスライダーを巧みに左前へ運ぶ2点適時打を放ち、試合の流れを引き寄せた。

「追い込まれましたが、うまくコンタクトすることができました。チャンスだったので、何とかランナーを返そうという気持ちだけでした」と三森。4回に外崎修汰、源田壮亮両内野手に連続四球を与えるなど制球を乱す場面があった千賀滉大投手も、余裕を持って7回3安打1失点に抑え今季2勝目。「自分としては情けない投球になりましたが、野手の皆さんのお陰でなんとか7回まで投げることができました」と話した。

栗原、柳田を欠き、今季全試合で4番を張っているジュリスベル・グラシアル内野手が打率.200、0本塁打の不振でも、送るべきところはきっちり送る緻密な藤本采配と、敵将の辻監督も称えるしぶとい打撃でカバー。主軸を支える三森が今季打率.366、中村晃も.357の打棒を振るい、チームの快進撃を止めない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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