諫干訴訟 差し戻し審 漁業者側上告、開門命令「無効化」に不服

 国営諫早湾干拓事業潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を巡る請求異議訴訟で、開門確定判決原告の漁業者側は8日、国の主張を認め開門命令を「無効化」する判断を下した差し戻し控訴審の福岡高裁判決を不服とし、最高裁に上告した。
 堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を認めた2010年の開門確定判決について、国はその後の「事情変動」を理由に、執行力排除を求める請求異議訴訟を佐賀地裁に提起し敗訴。続く福岡高裁は一審判決を取り消し、国が逆転勝訴したが、最高裁は二審判決での共同漁業権の解釈に誤りがあるとして審理を差し戻した。3月25日の差し戻し控訴審判決は、「共同漁業権の対象となる主な魚種全体の漁獲量は増加傾向にある」「排水門を常時開放した場合に生じる防災上の支障は相当に増大している」などと国の訴えをほぼ追認。「(諫早湾や近傍部の魚類の)漁獲量の有意な減少の全て、またはその大半の原因が、閉め切りによるものと言えるかは疑義がある」とした。
 開門派弁護団は8日出した声明で「ずさんな判断で確定判決に基づく強制執行を権利乱用とすることは許されない」と判決を批判。「根本的解決のため開門は不可欠」だとして国に話し合いを求めた。農林水産省は取材に「(上告には)関係省庁と連携して適切に対応する。開門によらない、基金による和解を目指すことが最良の方策との考えに変わりない」とし、非開門の姿勢をあらためて明確にした。


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