ガロアムシの一生描く 絵本画家、舘野さんの原画展

絵本「がろあむし」の作者・舘野さん=相模原市立博物館

 細密な昆虫画で知られる秦野市の絵本画家、舘野鴻(ひろし)さん(54)の絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」が、相模原市立博物館(同市中央区)で開かれている。会場には、体長2センチほどの昆虫「ガロアムシ」について相模川左岸で10年かけて観察し、発刊した絵本「がろあむし」の原画などが並ぶ。舘野さんは「自分がガロアムシになった気持ちで見てほしい」と話している。6月5日まで。

 舘野さんは、「日本のファーブル」と呼ばれた絵本画家の故熊田千佳慕(ちかぼ)氏に師事。長期にわたる観察の下、生き物が懸命に生きる様を緻密に表現するのが持ち味だ。絵本のほか、図鑑や児童書の生物画、解剖図などを手がける。

 ガロアムシは、岩石やその破片が積み重なった「ガレ場」に生息する昆虫。絵本は、寿命5~8年といわれるガロアムシが生まれてから死ぬまでの一生を描きつつ、一生を終えるころには、生活の利便性を追求する人間によって開発が進み、虫が生息する環境が一変していることを伝える。

 舘野さんは中学生のころ、図鑑でガロアムシを知った。羽などがなく、丸裸のような容姿に魅了されたという。いつも山奥の地下にいるガロアムシが、われわれが住むすぐ足元にもいたという話を聞き、「人と虫の生息地の境目を描きたい」と思ったという。

 会場には、絵本の原画23点のほか、ガロアムシの標本などが展示されている。舘野さんがこれまでに手がけた絵本も置かれ、手に取って読むことができる。

 企画展は午前9時半~午後5時、入場無料。毎週月曜と5月6日は休館。問い合わせは同館、電話042(750)8030。

© 株式会社神奈川新聞社