春のアオリイカ、産卵前でビッグヒットの可能性大。狙うなら海にモコモコ漂うホンダワラを目印に

エギングで釣り上げたアオリイカ =3月下旬、南さつま市笠沙町

〈あゆLOVEフィッシング―上園あゆみ〉

 いよいよ春。体感以上に目で見て春を感じる景色が、街中にあふれています。菜の花、桜、ウグイス、ツバメ。でも、春がやって来たのは見える世界だけではありません。人目にはなかなか触れない海の中にも春が訪れています。海面にモコモコ漂う物体は、ホンダワラ科の海藻。春になると一気に成長して、場所によっては海岸線をびっしりと埋め尽くします。私たちがよく口にする「ひじき」は、このホンダワラの仲間です。

 春はルアー釣りをしていると引っ掛かってしまうこともあるので、厄介な面もありますが、実はこの海藻が、自然界ではとても重要な役割を果たしています。春は、海水温の上昇とともに多くの魚が産卵のために深場から浅場へと移動してきます。この藻場が魚たちの隠れ家や、寝床として重宝されるのです。

 そして、実はこの場所を産卵場所とするものもいます。その一つがアオリイカです。アオリイカは一年で寿命を迎える生き物で、春から夏に産卵期を迎えます。産卵場所は、ホンダワラのような藻をはじめ、サンゴや岩礁、海底に沈む倒木など。産卵前のアオリイカは、一年で最もサイズが大きくなるため、春が絶好の釣りシーズンと言われています。

 釣り人はこの時期、分かりやすいホンダワラの群生地を目印に大型のイカを狙います。個体数は一年で最も少なくなるので、なかなか難しい釣りではありますが、釣れたらビックヒットの可能性大。私もイカを求めて南薩方面に行ってきました。海のそばに車を止めて海岸を歩くと、海底から海面に伸びるたくさんのホンダワラを見つけることができます。

 今回はエギを使ったエギングで狙いました。これからの季節は暖かくなって、釣り人も増えて来ますが、磯や砂浜、港、イカダなど釣り場はたくさんあります。車を止める位置には注意して、春の釣りを楽しんでくださいね!

アオリイカ釣りで愛用しているエギ

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