18連勝のオリ山本由伸の凄みとは? 名球会入り打者が重ねる2人のレジェンド右腕

オリックス・山本由伸【写真:荒川祐史】

通算2038安打を誇る新井宏昌氏「勝てる投手のピッチング」

オリックス・山本由伸投手が9日のロッテ戦(ZOZOマリン)に先発し、7回を9安打2失点、9奪三振の力投で開幕から無傷の3勝目を挙げた。レギュラーシーズンでは球団新の18連勝をマークした難攻不落の右腕を、オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを歴任した野球評論家・新井宏昌氏は“レジェンド右腕”の姿に重なるという。

山本は初回に自らの悪送球も絡み無死二、三塁のピンチを作ったが、結果的にマーティンの右犠飛による1点のみと最少失点に抑えた。2点リードの7回にはレアードに左翼席へソロを浴びたが、ここも1点のみ。相手にビッグイニングを作らせず開幕3連勝を飾った。

「初回は自分のミスで失点して、まずいスタートだったが、その後は彼らしい投球だった。強風で本来ならアウトの打球もファウルボールになったり、際どい判定で球数が増えた部分もあり後半は球威が落ちた。“凄い山本”らしさは感じなかったが勝てる投手のピッチングをみせていたと思います」

投手と野手の信頼関係「リズムの悪い投手は中々、野手は助けてくれない」

この日はZOZOマリン名物の強風も味方につけていた。初回のマーティンの大飛球は本来ならスタンドインしてもおかしくない打球。150キロを超える直球に落差の大きなカーブ、フォークも有効に活用し、ビジター試合の中でも頭を使った投球でリズムを崩さなかった。

「勝てる投手は運も兼ね備えている。好投=勝つに繋がらないのが投手の難しいところ。リズムの悪い投手は中々、野手は助けてくれない。完封、1点差を守り切る姿を見て野手との関係が生まれる。山本はピンチでも最少失点で抑え、反撃を待つ展開を常に作っていた」

1点ビハインドの状態をキープする“我慢の投球”を続けたことで、結果的に5回は佐野皓の逆転3ランが生まれたのだ。

6四死球と本調子ではない中で勝利に貢献「(2013年に24連勝)田中将大のような状態」

また、投球フォームなどは違うが、現在のエース・山本の姿はロッテで通算215勝をマークした“マサカリ投法”の村田兆治氏と重なるという。150キロを超える剛速球にスライダー、フォークが武器の右腕と現役時代に対戦のある新井氏は「球界を代表する投手を攻略するには一番いいボールをいかに打つか大事。村田さんの時はストレート。今の山本も同じです」と指摘する。

この日のロッテ打線は山本のファーストストライクを見逃す場面が多く、打ってもミスショットが目立った。1打席で打てるボールは1球あるか、ないか。僅かな失投をいかに打つことができるかが、今後の課題になってくる。

南海、近鉄で通算2038安打を放ち名球会入りした新井氏は、打者目線として見たロッテ打線を「球数を投げさせるチーム方針なのかもしれないが、150キロを超える真っすぐを投げる投手に対して、変化球待ちは厳しい」と分析し、「初球の真っすぐを見逃すのが少し気になりました。打つべき球を積極的に打っていくことが大事になってくる」と口にする。

この日は6四死球と本調子ではない中でも山本はチームの勝利に貢献。「大崩れしない負けない投手。(2013年に24連勝)田中将大のような状態といってもいい。予告先発の時点で相手が諦めるような投手になっているのではないでしょうか」。オリックス、そして日本球界を代表するエースがどこまで連勝を伸ばすのか、今後も注目が集まりそうだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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