ロッテ安田は「同じ内容の空振りが目立つ」 イチロー育てた名伯楽が指摘する課題

ロッテ・安田尚憲【写真:荒川祐史】

伏兵のオリックス・佐野皓大が“強風”を生かした逆転3ラン

■オリックス 4ー2 ロッテ(9日・ZOZOマリン)

オリックスは9日、敵地・ZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ戦に4-2で勝利した。先発の山本由伸が7回9安打2失点の力投で無傷の開幕3連勝をマークしたが、5回に佐野皓大が放った逆転3ランも大きかった。南海、近鉄で通算2038安打を放ち名球会入りした野球評論家・新井宏昌氏は勝敗のポイントを「球場特有の強風をいかに理解していたか」と指摘する。

オリックスは0-1で迎えた5回。1死一、二塁から佐野皓が左腕・小島が投じた142キロの直球をコンパクトに振り抜き、左翼のホームランラグーンに飛び込む逆転3ランを放った。新井氏は「この球場では“フライにならない打球”を打つことが必要。強いライナー性の打球の方が伸びてスタンドインする確率が高い。佐野は第1打席の内容が悪い訳じゃないが、凡打になったことで上手く修正したように見えました」と語る。

初回の第1打席では会心の当たりを放っていたが放物線を描いた打球は風に流され左邪飛に。だが、その後は3回の第2打席で強く上から叩くスイングで外野の間を抜ける二塁打、そして5回の第3打席では逆転3ランを放つなど3安打の固め打ちを見せていた。

この日の試合のようにセンターからホームベースに吹く風はフライボールは結果が出にくいとされている。ZOZOマリンは特に外野からホーム方向が多く、打者にとっては逆風になる。高く上がる飛球は押し戻され、逆に低いライナー性の打球は伸びる傾向があるのが特徴だ。

オリックス・佐野皓大【写真:荒川祐史】

第1打席は会心の当たりも強風で打球が流され左邪飛も「その後はライナーを打つイメージ」

巧打者タイプの佐野皓がなぜ長打を打てたのか。新井氏は「1打席でいい感じの打球が逆風でアウトになった。遠くに飛ばそうというような形だったが、その後はライナーを打つイメージの打席に変わっていた。ヒットでいい、その延長が長打になる。球場の特徴を把握して生まれたヒット」と分析する。

一方、対照的だったのがロッテの安田だった。初回2死一、三塁の第1打席、3回2死満塁の第2打席で空振り三振を喫するなどオリックス・山本の前に3三振。ストレートを待ちながらも空振りする場面が多く、打席の中で修正することができなかった。

「次も真っすぐ打ってやろう、と言うのは分かります。ですが、ボールの下をバットがくぐっている同じ内容の空振りが目立った。プロの一流投手は甘い球は1打席に1球あるかどうか。それを打ち損じてしまうと苦しい。3、4打席ある中で何か工夫が欲しかった」

3三振もロッテ安田は「相手投手、状況を理解した打撃を掴めば中軸を担える存在」

2017年にドラフト1位で入団し和製大砲として期待されているが、完全にレギュラーを掴めていないのが現状だ。「大振りしなくても、しっかりアジャストすればボールは飛ぶ。相手投手、状況を理解した打撃を掴めば中軸を担える存在」と、潜在能力の高さは認めている。

オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを歴任し“イチローの恩師”としても知られる新井氏は「球場の特徴も理解して打席に入っているか。相手との勝負だけではなく、そういった部分も頭に入れることで結果は変わってくる」と口にする。この日はマリン特有の風を味方に付けたオリックスが勝者となった。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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