作家・伊吹有喜の小説『今はちょっと、ついてないだけ』(光文社文庫 刊)を原作に、玉山鉄二主演、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の柴山健次が監督を務め、千葉県茂原市、長野県千曲市、愛知県幸田町、長崎県島原市の4都市と共に製作された映画『今はちょっと、ついてないだけ』がついに4月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開。 公開を記念して、昨日4月9日(土)に玉山鉄二、音尾琢真、深川麻衣、団長安田、柴山健次監督登壇の舞台挨拶イベント(上映後)を新宿ピカデリーにて開催。各人が本作にまつわるエピソードを語り、さらに玉山の誕生日をサプライズでお祝いするなど盛りだくさんの内容となった。
玉山鉄二、音尾琢真、深川麻衣、団長安田、柴山健次監督はMCの呼び込みで登壇。映画を観終わった観客を前に、玉山は
「公開2日目に、こんなにたくさんの方が来てくださって、嬉しさと興奮と、そして感動しています。満席ですよね? 皆さん本当にありがとうございます」
と挨拶。 音尾は
「最近時間があったので、ヒゲを生やしていたわけですが、玉山さんも同じ感じにヒゲが生えていました。嬉しいです」
と述べて会場の笑いを誘い、脚本・編集も務めた柴山監督は
「原作を読んでから5年以上経って、ようやくこういうお披露目の場になって感無量です」
と心境を語った。
13年ぶりの映画主演を務めた玉山は
「今回企画が決まって、オファーを頂いて、実はクランクインが2回くらいズレているんですよね。予定よりも時間がかかった。『もしかしたら、この仕事飛んでしまうかな』とかいろんな不安を持って日々過ごしていました」
と回顧。
「そういうこともあって、コロナの緊急事態宣言も経て、こうやって実際に公開日を迎えられて本当に感動しています」
と胸中を吐露した。 玉山はさらに
「団長さんのすごい大ファンなんですよ。すごいピュアだし。でも撮影初日に“おれ、映画やってるぞ感”で現場に来た。『ちょいちょいちょい、それは違いますよ』と
(たしなめました)
。そういう感じで緊張をほぐしながら、いいシーンを撮りました」
と話した。 それを聞いて団長安田は
「カッコつけていたんじゃなくて緊張していただけですよ!」
と否定するも、玉山は
「ちょっとカッコつけてたじゃないですか」
と反論する一幕も。団長安田は
「それはカッコつけるでしょ! 映画出るんだから!」
と開き直り、会場の笑いを誘った。 一方で玉山は
「団長さんにはすごく感謝しているんですよ。なぜかと言うと、僕はサウナが好きで、地方でサウナに行った時に、連日連夜の撮影で疲れていたんでしょうね。整っている時、外で素っ裸で寝ちゃってて(笑)。パッと起きたらタオルがかかっていたんですよ。誰かかけたのかなと思って話を聞いたら、それが団長さんでした。疲れている僕の寝ている姿に心配してタオルをかけてくださった。あの日、風邪を引かなかったのは団長さんのおかげです」
と感謝。団長安田は
「整いすぎて微動だにしないから、死んでると思った(笑)」
とジョークを飛ばした。
キャンプシーンがある本作にちなんで、音尾は、撮影前にソロキャンプを敢行したことが明らかに。団長安田さんが
「すごくないですか!? 長野県の撮影の時に、自分の車で来て、ガチキャンプして現場来てるんですよ」
と暴露すると、音尾は
「そうなんですよ。家族でキャンプをするのにハマっていて、常々ソロキャンプをしたいと思っていたんですよ。
(本作の撮影で)
長野県にもロケに行く。ちょうどいい。“ソロキャンプ前乗り”をして、次の日に備えました」
と話し、
「だからもう、
(玉山さん演じる主人公の)
立花ですよね。コーヒー大好きだし、写真を撮るのも好き」
と笑った。 深川は、劇中では玉山らとシェアハウスをする役柄。
「皆さん、先輩方なんですけど、カメラが回っていないところでも気さくに話してくださった。美味しい料理の作り方を教えてくださったりした。お三方の仲が良くて、映画の中の空気感ともリンクして、年の離れたおじさまたちが楽しそうにしていた。人生を前向きに、好きなことをして楽しんでいる姿は素敵だなと思いながら見ていました」
と語った。 しかし玉山は
「実はおっさんチームはめちゃくちゃ気を遣っていたんですよ」
と告白。
「本当にもう、
(深川さんは)
唯一の一輪の花ですよ。かたや、
(男性陣は)
競艇とか競輪とかの話ばっかりしている。僕、本当は料理ダメなんですよ。実はそんなにしないんですよ。すき焼きの美味しい作り方みたいな話をしておいたら、ハラスメントから一番遠いから、その話をすれば嫌われないと思って、
(映画で)
演じてて、また演じました」
と明かした。
玉山の本作のお気に入りは、安田を滝で撮影するシーン。玉山は
「一番のお気に入り。でも皆さん、よく考えてください。うっすら映っている乳首とか、あれ音楽なかったら大爆笑じゃないですか(笑)? もうちょっと濃く映っていたらR-15指定ではないかと思わせるハラハラドキドキするシーンでした」
と笑った。すると同シーンについて柴山監督は
「ちょっと肉薄していかないといけないなと思って。胸の筋肉を撮りたくて、ああいう画になりました」
と解説。 さらにこの日、4月7日に誕生日を迎えた玉山をサプライズでお祝い。ハッピーバースデーの合唱と共にフラワーケーキが運ばれ、登壇者から「玉山鉄二さん、お誕生日おめでとうございます!」と祝福を受け、玉山は
「嬉しいですね、本当に。42になりました」
と報告。MCに促されて
「毎年変わらず健康に、そして炎上しないように(笑)、細々とがんばります」
と抱負を語った。 イベント終盤に柴山監督は、
「この物語について一言思ったのは『こんなはずじゃなかったのに。もっとうまくやれるんじゃないか』というのはいつもある感情でした。この原作を読んだ時に、世の中の皆がどこかしら、そんな思いを持っていると感じました。僕はそれに救われました。この物語を映画にすることで、もっと広く、必要な方に届くのではないかと思いました。たくさんの方に観てもらうのが一番の願いです。必要だと思う方に教えてあげてください」
と挨拶。
次いで団長安田は
「この映画の中では、めっちゃがんばって標準語を覚えました。それを広めてください!」
とアピール。
深川は
「映画の中で、立花さんのお母さんが立花さんに、この映画のタイトルにもなっている『今はちょっとついていないだけ』という言葉をかけます。この映画を通して、その言葉が皆さんに届いたら嬉しいです。生きていたらいろんなことがありますけど、ちょっと視点を変えたり、そうやって言葉をかけたりしてもらえたら『あ、意外と大丈夫かも。前に進めるかも』と思えると思います。そういうふうに、皆さんにとってスイッチを切り替えるきっかけになったらとても幸せです」
と語った。 音尾は
「優しいお話です。癒やしを求めて観に来てくださればいいと思います。いろんな街で撮影をして、たくさんの方にお世話になりました。けど私、長崎だけは行けておれません。どうにか長崎でも舞台挨拶をしたいです。あとは地元の北海道で」
とリクエストした。
最後に、劇中のかとうかず子 演じる立花浩樹のお母さんが「そのうち良い運がやってくる!」というセリフにちなんで、「最近ちょっとついているなぁ」と思う出来事を問われて玉山は
「今日、朝ごはんに目玉焼きを作ってもらったんですけど……双子でした」
と笑顔でコメント。観客席の驚きを買い、自然と拍手が巻き起こった。 続けて玉山は
「あとは、この映画を観てくださって、閉塞感のある世の中で、セカンドチャンスとか、もう一回がんばろうとか、そういうことが難しかったり否定・批判する人がいたりして、昔に比べてやりづらいなと思っている方もいると思います。でも、ちょっぴり自分を甘やかせてあげて、何か新しいことに挑戦したり新しいスタートを切ったり、セカンドチャンスと捉えてもう一回スイッチを入れたりすることに対して、ちゃんと自分と向き合って、自分のことを優しく包み込んでいいのではないかと思います。ちょっとだけ背中を押してもらえるような作品になっていると思います。二度三度観ていただけたら嬉しいです。今日はありがとうござました」
と語り、イベントを和やかに締めくくった。