「若者のクルマ離れ」底打ち? データが示すマイカー派近頃じわじわ増えている説

© まいどなニュース

当世若者クルマ事情?

いまのクルマで薄れてしまった「味」が旧車にはある。そう感じる若者も(画像は旧車王提供)

「若者のクルマ離れ」なんて言われて久しい昨今です。

1960年代なかば生まれ、小学生時代にスーパーカーブームの洗礼を受けた筆者の世代は、「18歳になると免許を取ってクルマに乗るのが当たり前」という感覚でした。また「クルマを運転することは楽しいこと」とごく普通に、別になんの疑いもなく思ってましたし、「クルマを買いに行く」なんていうのはもう人生にそう何度もないハレの瞬間で、その日は心の底から寿ぎの日でした。なので「クルマを買うのって面倒くさいよね」なんてCMを見ると、本当に時代は変わってしまったのだなあと感じます。

公共交通機関が発達した都会では、実際のところクルマがなくても特に困らないので、わざわざマイカーを持つことは贅沢、というのは間違いではないでしょう。また、若い世代で環境に対する意識が高くなっていることや経済的な事情もあって、クルマに乗ろうという気持ちが起こりにくいということもあるのかもしれません。

しかし最近になって、少しですが事情が変わってきているというデータがあります。

ソニー損保の「新成人のカーライフ意識調査」(出典:https://www.sonysonpo.co.jp/auto/ 2022年の新成人1,000人にインターネットで実施)によると、2022年の新成人は運転免許保有率が57.2%で、前年比5.9ポイントも上昇しているのだそうです。

また、その中で「クルマを持っている」「購入する予定がある」と回答した679名を対象に「自分のクルマを持ちたいと思った理由」(複数回答)を聞いたところ、「移動が楽だから」が59.9%で最も多く、「買い物に便利だから」38.6%、「レジャー・旅行に便利だから」33.9%と続いたといいます。

さらに、自動車のサブスクリプション「定額カルモくん」を展開するナイル株式会社の「新成人の車所有調査」(出典:https://carmo-kun.jp/column/pr/release-research-9/)では、東京都を除く全国の2022年新成人994名を対象にインターネットで調査したところ、「クルマは生活に必要ですか?」という質問に対して「必要」という回答が68.7%で、「必要でない」の31.3%を大きく上回りました。

内閣府の「令和2年交通安全白書」では、20歳から24歳の免許取得率は73.2%、25歳から29歳では86.5%。30歳あたりでは9割近くが免許を持っているという数字を見ると、実際言われているほどクルマ離れしているわけでもないのかと感じます。

クルマの価格が高くなったいま、新しい買い方も

スポーツカーなど、レンタカーにはなかなかならない趣味性の高いクルマに乗りたければ、やはり自己所有ということに

いま「非正規雇用が増えているなどもあって、国民全体に所得が伸び悩んでいる」とされるのに加えて、肌感覚としてクルマやバイクの価格は高くなっています。女優の伊藤かずえさんのシーマを日産がフルレストアした、というニュースがありましたが、あのシーマが発売されたのは1988年。新車価格500万円は当時破格の高級車でした。またトヨタカローラの「79万9千円」と伊武雅刀さんがCMをしていたのが1983年です。それが30年あまり、今ではファミリーカーでも当たり前に200万円オーバー、レクサスのような高級車では1500万円の時代です。バイクでも2000年にホンダのドリーム50というプレミアムなモデルが原付で30万円を超えて話題になりましたが、2017年に発売された「モンキー50」の最終モデル「50周年スペシャル」は43万2千円になってます。

クルマの購入はハードルが高くなって、リースや残価設定ローン、サブスクなどに加えて、自分自身のクルマを持たないカーシェアやレンタカーなども選択肢のひとつになっています。日常的に使うことがない、使用頻度が低い場合にはこれでもいいのでしょう。

ただ、いつでも好きなときに自由に使えるということを考えると、やはり自分専用のクルマを持ちたいということはあるのだと思います。

さらにもう一つの理由として、クルマに対する好み、こだわりというのもあるのではないでしょうか。なかなかレンタカーでは扱われない個性的な、ある意味万人受けしない車種だとか、現在もう生産されていない旧いクルマ、いわゆる旧車など。それらに魅力を感じる人たちも一定数いて、彼らはやはり自分で所有するという選択をしますよね。

旧車の買取サービス「旧車王」を展開するカレント自動車株式会社の広報担当・菊地さんによると、契約台数や買取査定数が若者世代でも堅調に伸びているといいます。

また、コロナ禍で「公共交通機関を使うのがこわい」「他人と共用したくない」という気持ちと、さらに「外食や旅行などに使うお金が減った」などの事情も若干の追い風になっているとする見方もあるようです。

リモートワークが定着し、都心を離れて郊外に暮らす人が増えてくると、クルマやバイクといったパーソナルモビリティの役割が、この先また見直されるのかもしれませんね。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)