インディカー第3戦:勝負強さを見せたニューガーデンがグロージャンを抑えロングビーチ初制覇

 カリフォルニア州ロングビーチ市街地で開催されたNTTインディカー・シリーズ第3戦。10日に行われた決勝レースは、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が勝利し、2連勝を飾った。佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)は、22番手スタートから15番手までポジションをアップ。しかし、残り2周でクラッシュを喫し17位でレースを終えている。

 気温20度、青空が広がり、海からの風も吹く素晴らしいコンディション下で行われた第47回グランプリ・オブ・ロングビーチでは予選2番手からスタートしたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が優勝した。第2戦テキサスからの2連勝で、2017年と2019年の2回インディカーチャンピオンとなっている彼が一気にポイントリーダーの座に躍り出た。

「この伝統あるストリートレースでの初勝利を飾ることができ、とても嬉しい」とニューガーデンは笑顔を見せた。

「今日の勝利は自分のキャリアの中でも上位にランクされる素晴らしいものになった。激しいバトルの末に掴んだものだった。ロングビーチGPというのは勝つのが難しいレースなんだ」

「今日はまず2回目のピットストップ後のアウトラップでアレックス・パロウの前に出た。彼にパスさせなかった、あのバトルがいちばん厳しかった。その後、ゴール前にはグロージャンと戦った。ユーズドのレッドタイヤで彼を封じ込めなくてはならなかったから、本当に必死で走っていた」

「最後のリスタートでの彼のアタックもどうにか抑えることができた。今日のレースでは我々のピットクルーががんばってくれたことによってアレックス・パロウの前に出ることに成功した。本当にチーム・ペンスキーの一員であることを誇りに思う」とニューガーデンは語った。

第47回ロングビーチGPスタート
アレックス・パロウを抑えるジョセフ・ニューガーデン

 ポールポジションから素晴らしいスピードを見せ続けていたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)は1回目のピットストップを早めに行った予選3番手のアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)にトップを奪われ、1周遅くピットしたニューガーデンにも先行を許して3番手へ後退。

 それで焦りが生じたか、85周のレースの56周目のバックストレッチエンドのヘビーブレーキングで右前輪を小さくだがロックさせ、右コーナーを曲がり切れずにコンクリートウォールにクラッシュ!

 その場でリタイアとなった。ポイント争いを考えると非常に手痛いミスだ。23位にランクされた彼は9ポイントしか加算できず、3レースを終えてのポイントスタンディングは11位となっている。

 2位はロマン・グロージャン。アンドレッティ・オートスポートへと移籍して初の表彰台フィニッシュだ。予選6番手だった元F1ドライバーはニューガーデンの背後に迫るまでに200秒が与えられているプッシュ・トゥ・パスを使い過ぎ、ゴール前の勝負でトップを奪い切る前にそれを使い果たした。

 残り5周でのリスタートを2番手で迎えたグロージャンだったが、ニューガーデンは残していた4秒のプッシュ・トゥ・パスを使って彼を突き放し、勝利を確実なものにした。

ロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)

 最終ラップの1周前に佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・RWR)がリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)とのバトルの末にタイヤバリアへと突っ込んでフルコースコーションが出され、ゴールはイエローフラッグとチェッカーフラッグが両方振られるものなった。

 3位はパロウ。一時はトップに立ったが、最終的にフィニッシュは予選結果と同じものになった。開幕戦で2位フィニッシュしている彼はこれで2回目の表彰台。ポイント3番手にキッチリつけている。

 チーム・ペンスキーはこれで開幕3連勝。昨年は初勝利まで10レースを要した彼らだが、今年は絶好調だ。3台に体制を縮小したことでよりフォーカスした戦いができているようだ。

 ペンスキーの3連勝ということはシボレーの3連勝でもある。ホンダは2022年はまだ勝利を挙げることができていない。ロングビーチGPはパ2020年がパンデミックのため開催されなかったが、2017、2018、2019、2021年とホンダが4連勝してきており、予選でのポールポジションはハータが獲得したものの、5連勝はならなかった。

 琢磨は22番手スタートから着々と順位を上げ、開幕戦同様にトップ10に手を届かせるかという戦いぶりを見せていたが、13位フィニッシュを目前にしてアクシデントによりリタイアを喫した。

 ゴールを目前にしてジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がクラッシュし、それに琢磨のチームメイトのデイビッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・HMD)が巻き込まれて長いフルコースコーションが出された。

 それが開けてゴールまで5周でリスタートが切られると、ピットでフレッシュ・レッドを装着したリードラップ最後尾のヴィーケイが猛チャージ。

 ジャック・ハーベイ(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、スコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)をパスして勢いづいた彼はバックストレッチへとアプローチする右コーナーで琢磨のインサイドに飛び込んできた。アウトに押し出された形の琢磨はタイヤかすに乗ってクラッシュ……17位となった。

「2ストップでいく作戦に決めていて、その通りに戦ってポジションを上げていくことができていました。少しウイングを寝かせて行ったセッティングも効果を発揮し、何台かをオーバーテイクすることができました」

「しかし、終盤のシモン・パジェノーとのバトルの時にアンダートレイを傷めてしまって、それでダウンフォースが多分数100ポンドも減ってしまっていました。そのために最後のリスタートの後のバトルで踏ん張り切れませんでした。あと1周だったので、リタイアになったのは悔しいですね」と琢磨は話した。彼のポイントスタンディングは15番手だ。

佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・RWR)

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