ドゥカティに移籍したバウティスタが2勝を挙げ、2022年の開幕戦を飾る/SBK第1戦アラゴン

 4月8~10日、スーパーバイク世界選手権(SBK)開幕戦アラゴンがスペインのモーターランド・アラゴンで行われ、レース1はジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が勝利し、スーパーポール・レースとレース2はアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝した。野左根航汰(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)はレース1、スーパーポール・レースで18位、レース2は転倒リタイアだった。

 2022年シーズンSBKの開幕戦となったアラゴンは、マイケル・ファン・デル・マーク(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)がトレーニング中に負った怪我により欠場し、代役としてイリア・ミカルチィクが参戦した。日本人ライダーとしては野左根航汰が引き続きGYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチームから参戦し、2年目のシーズンを迎えている。

■レース1:接戦を制しレイが優勝を飾る

 スーパーポールの結果により、ポールポジションはトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)、2番グリッドはバウティスタ、3番グリッドはレイというフロントロウで、野左根は19番グリッドに並んだ。

 レース1は気温16度、路面温度28度のドライコンディション。オープニングラップでトップに立ったのはレイだったが、その背後にはラズガットリオグルがつけ、さらにその後方にはバウティスタ、マイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が続く。

 4周目になるとリナルディはトップ3から遅れ始め、レイ、ラズガットリオグル、バウティスタの3人がトップ集団としてレースをけん引する。5周目、ラズガットリオグルがレイをオーバーテイク。2021年王者のラズガットリオグルがトップに浮上した。

 しかし5周目の1コーナーでのブレーキングでレイがラズガットリオグルをかわすと、バウティスタも加わり、トップ争いを繰り広げる。レイとバウティスタはオーバーテイクを繰り返し、トップを奪い合う。その一方、ラズガットリオグルはふたりに離されない差で3番手をキープしていた。

 しかし終盤になると、レイ、バウティスタに対し、ラズガットリオグルが遅れ始める。一方、レイとバウティスタはトップを奪い合う激しいオーバーテイクを繰り返していた。迎えた最終ラップで、バウティスタがバックストレートからの16コーナーのブレーキングでレイのインサイドに飛び込む。しかし、レイはクロスラインで抜き返し、トップでチェッカーを受けた。

 最終ラップまで続いた接戦を制し、レイが2022年シーズン最初のレースで優勝を飾った。2位はレイと激しいトップ争いを展開したバウティスタ。3位はラズガットリオグルが獲得した。

 4位はリナルディ、5位はアンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)。MotoGPからSBKにスイッチしたイケル・レクオーナ(チームHRC)は6位で、野左根は18位でレース1を終えている。

■レース2:バウティスタが独走優勝

 スーパーポール・レースではバウティスタが優勝し、2位はレイ、3位はラズガットリオグルが獲得した。野左根は18位だった。この結果により、レース2はポールポジションにバウティスタ、2番グリッドにレイ、3番グリッドにラズガットリオグルが並ぶことになった。

 レース2は気温20度、路面温度36度のドライコンディション。好スタートを切ってホールショットを奪ったのはレイで、2番手にバウティスタ、3番手にラズガットリオグルが続く。バウティスタがバックストレートでレイをかわしてトップに浮上するも、2周目の7コーナーでレイがバウティスタをオーバーテイク。3番手争いはラズガットリオグルをかわしてリナルディがポジションを上げた。

 3周目、ストレートで再びレイをかわすとバウティスタがトップを奪う。レイはバウティスタに続きオーバーテイクを仕掛けたリナルディと1コーナーで接触しそうになり、コースアウトしたことでリナルディとラズガットリオグルにかわされ、4番手に後退した。

 しかし6周目、レイは1コーナーのハードブレーキングでラズガットリオグルを見事にかわすと、3番手に浮上する。この時点でトップのバウティスタとの差は約1.5秒。2番手のリナルディとは約1秒の差があった。

 レイはリナルディとの差を詰めていき、11周目にパス。2番手に浮上した。バウティスタはすでに1.5秒以上先を走り、独走態勢を築いている。また、終盤に入るとリナルディのタイムが落ち始め、残り3周にラズガットリオグルがリナルディをオーバーテイクし、3番手に浮上する。

 バウティスタは独走態勢を守ったままトップでチェッカーを受け、スーパーポール・レースに続きアラゴンで2勝目を挙げた。2位はレイ、3位には残り3周でリナルディをオーバーテイクしたラズガットリオグルが入った。

 リナルディはレース終盤にタイムを落としてラズガットリオグルにかわされ、4位。5位はアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)だった。野左根は残り5周で転倒を喫し、リタイアとなっている。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)は今季、技術規則の変更により、新たに“ネクスト・ジェネレーションクラス”としてドゥカティ パニガーレV2、トライアンフ ストリートトリプルRSやMVアグスタF3 800RR、MVアグスタ F3 スーパーベローチェ、スズキGSX-R750などがホモロゲーションを取得している。

 レース1、レース2ともにヤマハを走らせるライダー同士の優勝争いとなり、レース1はロレンソ・バルダッサーリ(エヴァンブロス.ワールドSSPヤマハチーム)が優勝、2位がドミニケ・エガーター(テンケイト・レーシング・ヤマハ)、3位がジャン・オンジュ(カワサキ・プチェッティ・レーシング)。レース2ではエガーターが優勝し、バルダッサーリが2位、3番手を走行していたオンジュは最終ラップにスローダウンし、ドゥカティのパニガーレV2を駆るニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・スーパースポーツ・チーム)が3位だった。

 スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)では、レース1でマルク・ガルシア(ヤマハMSレーシング)が独走優勝。2位はアルバロ・ディアス(アルコ・モーター・ユニバーシティ・チーム)、3位はレノックス・レーマン(フロイデンベルグKTM-パリゴ・レーシング)だった。WSS300参戦4年目を迎える岡谷雄太(MTMカワサキ)は3番手争いを展開し、5位でフィニッシュしている。混戦のトップ争いとなったレース2では、ディアスが優勝し、2位はガルシア、3位はレーマン。岡谷は最終ラップで他車と接触し、転倒リタイアだった。

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