珍事件、コルベットから飛んだナットがライバル車のラジエーターを直撃/IMSA第3戦

 4月9日に行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第3戦ロングビーチの決勝レース中に珍しい事件が起きた。それはスタートから40分を迎える直前にピットレーンで発生。ピットインした3号車シボレー・コルベットC8.R GTD(コルベット・レーシング)の右フロントタイヤから外れたナットが宙を舞い、さながら砲丸のように同じくピット作業中だった9号車ポルシェ911 GT3 Rを襲ったのだ。

 ポルシェのボンネットカバーに“着弾”したホイールナットはアウトレットを経てボンネット内部に落下。パフ・モータースポーツ9号車のラジエーター穴を開けた。この影響で、3号車コルベットとクラス優勝を争っていた9号車ポルシェは戦線離脱することに。また、コルベットにも「機器の制御を失った」として、ドライブスルーペナルティが課されている。

 3号車コルベットのドライバーのひとりであるジョーダン・テイラーは、このアクシデントを「偶然発生した事故」であり、最終的にコルベットがGTDプロクラスで2連勝する可能性を奪ったと語っている。

 ロングビーチ市街地コースで行われた100分間のスプリントレースでクラス3位となったコルベットは、ポールポジションからスタートし9号車ポルシェら後続車を引き連れてレース前半戦をリードした。

 しかし、ピットレーンでのアクシデントによって課されたドライブスルーペナルティの影響でクラス4番手に後退する。その後、テイラーとアントニオ・ガルシアのペアは順位をひとつ上げ3位表彰台を獲得。ポイントリーダーとして今戦を迎えたパフの9号車が6位フィニッシュ(レース後、25号車BMW M4 GT3の降格ペナルティにより5位)となったため、マシュー・ジャミネ/マット・キャンベル組を逆転しGTDプロのチャンピオンシップリーダーとなっている。

「すべてを考慮したとき、ポイントデーとしてはかなり良いセーブができたと思う」とテイラーは述べた。

「僕たちがとても強く、勝てるクルマを持っていたことを考えると(この結果は)残念だ。最大ポイントを得られなかったことを飲み込むことは難しい」

「(幸いにも)ペナルティが出るまでに充分なリードを築いていたから、レースを台無しにすることようなことはなかった」

「それは本当にまさかのアクシデントだった。レース中に起きてしまったのは残念だよ」

 このレースでは、9号車ポルシェの戦線離脱と3号車コルベットのペナルティによって首位に立ったハート・オブ・レーシング・チームの23号車アストンマーティン・バンテージGT3(アレックス・リベラス/ロス・ガン組)が、3戦目でGTDプロクラス初優勝を飾っている。

IMSA第3戦ロングビーチでGTDプロクラスのウイナーとなった23号車アストンマーティン・バンテージGT3(ハート・オブ・レーシング・チーム)
ポールシッターの3号車コルベット、後続の9号車ポルシェ、23号車アストンマーティンがGTDプロクラスの優勝を争った
パフ・モータースポーツの9号車ポルシェ911 GT3 R。後方から降ってきたコルベットのナットはボンネットカバーに落ちた後、アウトレットに吸い込まれラジエーターに穴を開けた

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