「大糸線」赤字額6・1億円 赤字17路線収支初公表 存続含めた議論注目 JR西日本

 JR西日本は11日、大糸線(南小谷―糸魚川、35・3キロ)をはじめ、管内ローカル線17路線30区間の収支を初めて公表した。大糸線の収支は、2018~20年度の平均で6億1000万円の赤字。収支率(費用に対する収入の割合)は2・9%で、極めて収益性に乏しいことが明らかになった。JR西は2月、大糸線の路線存続を含め沿線自治体と検討する方針を明らかにしており、今後の議論が注目される。

 収支公表の対象路線は、19年度に輸送密度(1日1キロ当たりの平均乗客数)が1日当たり2000人未満の路線。大糸線は102人だった。20年度はコロナ禍で利用減少に拍車がかかり、50人まで下がっていた。

 収支率の比較では、大糸線は30路線中最下位から4番目。赤字額では最下位から16番目だった。JR西は今回収支を公表した路線全般について「大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていないと考えている。二酸化炭素(CO2)排出の面でも、現状の利用実態では必ずしも鉄道の優位性を発揮できていない」として、改革の必要性を訴える。

 今後について同社は「地域のまちづくりに合わせた、今よりもご利用しやすい最適な地域交通体系を、幅広く議論・検討し、地域の皆様とともに実現していきたい」とコメントを出した。

存続「鉄路以外ない」 米田市長強調

 JR西日本の公表を受け、糸魚川市の米田徹市長は同日会見を開いた。コメントを読み上げ、記者団の質問に答えた。

 コメントで米田市長は「JR西日本にとって、厳しい路線経営であることをあらためて認識した」とした上で、「大糸線は生活の足だけでなく、観光、産業、防災等、地域において欠かすことのできない大切な公共インフラ」と強調した。

 併せて、北陸新幹線が福井県、関西方面への延伸が予定されている中で、糸魚川から白馬エリア、関東・中京圏、日本海側と太平洋側を結ぶ重要なネットワークを形成している」と指摘した。

 今後は「JR西日本をはじめ、新潟・長野両県、沿線地域の関係者と共に議論を深め、持続可能な路線となるよう、一層の取り組みを進めていきたい」との考えを示した。

 質疑応答で「あくまで鉄路での存続を求めていくか」との質問に対し、米田市長は「今の段階では鉄路以外ないと私は捉えている。鉄路でなくなったら大糸線でないと感じている」と答えた。

糸魚川駅ホームから南小谷に向かう大糸線列車

© 株式会社上越タイムス社