胎児期に鎖骨の成長減速、難産のリスク回避か 京大発表、人類進化の過程一端

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ヒトの肩の成長パターン

 ヒトの肩の成長スピードは胎児期に減速し、出生後に一転して加速することが分かった、と京都大のグループが発表した。成長した肩が産道に引っかかるリスクを緩和するヒト特有のメカニズムとみられ、人類が進化する過程の解明につながる可能性がある。米科学アカデミー紀要に掲載される。

 京大によると、ヒトが持つ幅広の肩は二足歩行を安定させるのに重要な役割を果たす一方、出生時に狭い産道に引っかかるなど難産の原因にもなる。難産の別の要因となる頭の場合、頭蓋骨を柔軟な状態に保つことで対応していることが知られているが、肩については出生をどうクリアしているのか未解明だった。

 理学研究科の森本直記准教授と大学院生の川田美風さんらは、胎児期から出生後の81人分の骨格データをコンピューター断層撮影によって分析。肩幅のサイズを決める鎖骨とそれ以外の部位の長さを比較したところ、鎖骨の成長スピードだけが胎児期から出生直前にかけて減速し、出生後にそれまでの成長の遅れを補うように加速していることが分かった、という。

 ヒトと同様に肩幅の広いチンパンジーを調べたところ、このような肩の成長パターンは見られなかった。四足歩行のチンパンジーはヒトと比べて産道が広く、森本准教授は「二足歩行で産道の狭いヒトだけが持つ、難産緩和のためのメカニズム」と指摘。その上で、「ヒトには『小さく生まれて大きく育つ』という特徴があり、その秘密は鎖骨にあることが分かった。肩に注目することで、ヒトという生き物への理解が一層進むのではないか」と話した。