“契約前によく考えて” 成人年齢引き下げ、消費者トラブル増加懸念 長崎県消費生活センター

18歳・19歳に気を付けてほしい消費者トラブル10選

 成人年齢を18歳に引き下げる改正民法が今月施行されたのに伴い、新たに成年となった18、19歳の消費者契約トラブルや被害の増加が懸念されている。若者や家族が特に気を付けるべき点などについて、本紙生活面の連載「生活110番」(月1回)の執筆者で県消費生活センターの大坪辰也課長補佐に聞いた。

  ■未成年者は保護

 未成年者は取引の知識や経験が不足しており、判断力も未熟なことから法律で保護されている。しかし成年に達すると、親の同意を得ずに自分の意思で契約を結べるようになる。契約を結ぶかどうかを自分で決め、責任も自分で負うことをまず意識してほしい。

「成年に達したら契約を自分で決め、責任も自分で負うことをまず意識してほしい」と話す大坪さん=県庁

 2020年度の全国の消費生活相談で、20~24歳の相談件数(1歳当たり平均値)は18、19歳(同)の1.6倍に上る。成人年齢引き下げにより、この傾向が18、19歳に拡大するのではないかと懸念されている。未成年者には「未成年者取り消し権」があり、親権者や法定代理人の同意なしに結んだ契約は原則取り消すことができる。この対象外となった18、19歳が、新たに悪質商法のターゲットになる恐れがあるからだ。
 なぜ若者が狙われるのか。若者は夢のある話やもうけ話などに誘われると、その気になってしまいがち。これまで、お金とあまり関係のない学校や友人関係が生活の中心で、悪意を持って接近する業者とやりとりした経験もない。相手を疑ってかかる姿勢や判断力が不足している上、巧妙な説得や先輩、知人のつながりを利用した誘いをきっぱりと断る力も不足しているため、被害に遭いやすい。

  ■「誰でも簡単に」

 では、どんなトラブルが多いのか。まずは「もうけ話」。「誰でも簡単にもうかる」といった情報商材(情報自体が商品として売買されるもの)や、暗号資産(仮想通貨)への投資など。「美容関連」は脱毛やエステティック、二重まぶたの手術といった美容医療など。「定期購入」は、健康食品や化粧品について「お試し500円」「無料」などとするネット広告をうのみにしたら、実は定期購入になっていた-といったトラブルが多い。
 若者では、交流サイト(SNS)やネットの情報をきっかけにトラブルになるケースも多い。また20歳を過ぎると、マルチ商法(会員になり商品やサービスを買った人が新会員を増やして紹介料をもらっていく形の販売手法)の相談も増えるので、18、19歳も気を付けてほしい。

消費者トラブルに巻き込まれないためのポイント

  ■きっぱりと断る

 被害を防ぐにはまず、軽い気持ちで契約しないこと。後悔しないためにも契約前によく考えてほしい。自信がないときは身内や信頼できる人に相談を。うまい話に飛び付かず、きっぱり断ることも大事。「お金がない」という断り方をすると消費者金融や学生ローンで借金をさせられたり、クレジットカードを使わされたりする場合もある。必要がなければ、きっぱりと断って。
 トラブルで困ったときは県消費生活センター(短縮電話番号「188」=トラブルはイ・ヤ・ヤ)へ連絡を。


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