あなたの仕事は10年後もありますか?|永井良和(2020)『失われゆく仕事の図鑑』グラフィック社

自分をリープアップしてくれる本を、ライター目線で1冊ずつ紹介する「フクリパブックス」。フクリパを運営する”中の人”の1人、プロデューサー・白石洋一さんが、気になる一冊を選んでくれました。

リモートワークの普及で、働き方も変わってきました。

これまでの当たり前がどんどん変化してきています。いま働いてる仕事もいつまでもあるものではないかもしれません。

オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授の調査によると今後10〜20年の間で約半数の仕事が消える可能性があるそうです。

また、米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が、2011年8月のニューヨークタイムズ紙インタビューで語った言葉にもこのようにあります。

2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう

では、私達が小さい頃にあったけれど、いまは存在していない仕事にはどんな物があるのでしょうか?

今回ご紹介するのは『失われゆく仕事の図鑑』です。

『失われゆく仕事の図鑑』では、し尿汲み取り、バスガール、アイスキャンデー売り、ミルクスタンド、キーパンチャー、電話交換手、歌謡番組のビッグバンド、写植オペレーター、御用聞き他、121の消えた仕事・消えつつある仕事を紹介しています。(紹介文より)

失われゆくこんな職業たち

私自身でもこんな仕事があったのか!と感じるものから、令和となった現在でもほそぼそと続いている仕事までさまざまです。
個人的な驚きと興味はこちら。

「新聞社の伝書鳩」

新聞社はフィルムを届ける通信手段に伝書鳩を使っていました。記者は鳩の入ったカゴを携えて、取材地に赴き、撮影したフィルムと原稿を鳩の足の筒にとりつけるなどして、新聞社へ放ちます。1940年代後半には最盛期を迎え、新聞社の屋上にある厩舎では何百羽の鳩が散歩する姿が見られたそうです。そして1960年代には通信機器の発達により、役割は終わりを告げました。

「ミルクスタンド」

駅にあるキオスクの原型であり、エナジードリンク的な感覚で、出社前に駅でビン入りの牛乳を1本、クイッと飲む姿見られたとのこと。1960年代〜1980年代後半までは多かったものの、ペットボトルドリンクの登場により姿を消していきました。ただ現在でもビン牛乳のスタンドとして営業されているみたいです。

その他にも電気屋さんの前に置いてあった『乾電池の自販機』やいまも見かけるとテンションがあがる『屋上遊園地』などなど。

ノスタルジーを感じつつも、自分の身の回りではどんな仕事がなくなってしまうだろうか、自分の仕事はどうなるだろうかを考えさせられます。

現在進行系の歴史の記録としても興味深く読める一冊です。

この本は神社につとめる友人からいただきました。
興味あるかもなのでとお土産代わりにいただいたのですが、相手が好きそうな書籍をプレゼントすることってとてもよいですね。
プレゼントは相手の好みを、相手がいないときに考えて選ぶもの。
そう考えると、いただけることのありがたさをより感じられて、うれしくなります。
来月は妻からもらった一冊をご紹介予定です。

>>過去のフクリパbooks記事はこちら

身の回りと世界は思ったよりも違うもの|ジル・ピゾン『地図とデータで見る人口の世界ハンドブック』

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失われゆく仕事の図鑑
永井 良和 (著), 高野 光平 (著)
出版社 ‏ : ‎ グラフィック社 (2020/12/8)
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 184ページ

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