【新型コロナ】塩野義の新薬、妊婦へ推奨せず 動物実験で副作用確認

 塩野義製薬が開発し、2月に「条件付き早期承認制度」に基づいて薬事承認を申請した新型コロナウイルス感染症の治療薬について、動物実験で胎児に対する副作用が確認されたことが分かった。同社は承認後も妊婦に対する推奨を行わない方向で調整している。

動物実験で胎児に「催奇形性」

 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬は、これまで外国の製薬会社のものしか存在しておらず、危機管理として国内産の治療薬が求められている。その中で塩野義製薬が開発した飲み薬は、基礎的なヒトへの臨床試験でウイルスを減少させる効果が確認され、副作用も目立ったものは報告されておらず、早期承認へ期待が高まっていた。

 しかし関係者によると、動物実験で胎児に骨格形態異常を引き起こす「催奇形性」が確認されたという。同社はこれを受け、承認後も、妊婦の使用を推奨しない方向で社内調整を行なっている。これまで大きな副作用の報告がなかったことが、早期承認制度での申請に繋がった背景のひとつであるだけに、現在進行中の承認プロセスに影響を与える可能性が出てきている。

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